・アメリカ
アメリカでは、1980年飲酒運転前歴者で、事故の2日前に刑務所から仮出獄してきたばかりの加害者が起こした当時13歳だった少女の飲酒ひき逃げ死亡事故。 大切な娘をこのような理不尽な事故で失ったの母親は、どうしても納得できず、「飲酒運転は事故ではない、もっと重罪にすべきだ!」と声を上げ、それがきっかけとなってMADD(Mothers Against Drunk Driving)がカリフォルニア州で発足しました。 その後、現在までの約20年間に、MADDや政府の関連団体が、2300以上の厳しい飲酒運転罰則の法律を通過させ現在に至っています。
1984年、アメリカ議会は飲酒運転者 を、監獄に入れるための特別な法律を制定し、EMプログラムを導入しました。 各州独自の法律に適合させ、少なくとも48時間の監獄入りと100時間の奉仕 活動を強制しています。 (初犯の加害者は48時間の監獄入りですが、再犯者は10日間の牢獄入りが強行されています。)
さらに、ほとんどの州では今日、再犯や初犯などの回数に関わらず、酒を飲んで危険きわまりない運転をし注意力や判断力が欠如していると認定された場合、ブラック ロウ デイクショナリーにより“深刻な犯罪を侵した者”として、最低でも1年以上から死刑に至るまで罰せられると、合衆国と各州の法律に制定されています。
例えば、ハワイ州では、02 年8 月、飲酒運転により旅行者を殺害した罪で20 年の懲役刑の判例があります。酒気帯びなど程度の軽い加害者には、罰金や禁固刑が処されています。
・フランス
2003年7月に飲酒運転に関する法律が改正されワインの飲み方に少し変化が起きています。
取り締りと罰則が強化されたこと。 そこで市民は、警察の取り締まりを恐れて、レストランやカフェでのアルコール消費を控えざるを得ない状況に。 2003年のレストランでのワイン販売は15%減少したそうで、これ以上の落ち込みを避けるため、あの手この手の策略を展開しているようです。
たとえば、ボルドーワイン委員会は、飲み残しワインの持ち帰りサービスを促進するため、瓶から空気を抜いて再び栓ができる 「ヴァキュ・ヴァン」や持ち帰り用の袋をレストランに提供。さらに、グラスワインをセットにしたメニューを提案したり、ハーフボトルの販売を増やすレストランも増えています。
道交法改正後ノンアルコールのビールやワインの販売が伸びている日本に対し、あくまでワイン消費を伸ばそうとするのは、ワイン文化を誇りとするフランスだからこそ、なのでしょうか……。
また、「飲んだら乗らない。乗るなら飲むな」の日本と違って、少しなら飲んでも運転していいようで。 フランスの規制では、アルコール血中濃度は1?あたり0.5g。ワインならグラス2杯、ビールなら750clちょっとの計算になるそうです。
罰則は比較的厳しく、罰金はイギリスの約4 倍、免停期間にいたっては免停期間は約3倍、場合によっては1年間収監されることもあるようです。
・ドイツ
ドイツでも飲酒に対して厳しくなっているようで、昨年末ドイツ政府は交通違反をした場合の反則金や罰金を大幅に引き上げる方針を固め、飲酒運転(初犯)は500ユーロ(約8万2000円)とこれまでの2倍になるそうです。 「車でレストランに乗り付けてビールを一杯」というビール大国の習慣も泡と消えそうです。
同時にレーダー探知機や携帯電話の使用、速度超過などの反則金も引き上げられるようで、またドイツは制限速度を設けないアウトバーン(高速道路)で有名ですが、一般道路では速度違反や駐車禁止などを徹底的に取り締まっているそうです。
・中国
交通マナーの悪い印象のある中国ですが、四川省の警察当局によると、同省で2007年1月−12月下旬までに飲酒運転が原因で発生した交通事故は前年比22.86%増の301件で、死者数は53.03%増の101人 でした。 特に西昌市では12月22日に死者4人、負傷者8人を出す交通事故が起きました。なお中国の「道路交通安全法」は酒気帯び運転には1−3カ月の免許停止と200−500元の罰金、酒酔い運転には15日以下の拘留、6カ月の免許停止処分、罰金2000元の3つを課すことになっているようです。
・韓国
お隣の国、韓国では少し前の日本同様に飲酒運転の習慣が抜けないようで、英国の韓国人が多く住んでいるロンドン付近のキングストン市役所と警察署は最近、「飲酒運転禁止」、「携帯電話の電源を切ってください 」とハングルと英語を併記した2種類の警告板を市内300カ所に設けた。
キングストン警察当局は「英警察と在英韓国人社会との協力を強調するため」だと説明してますが、こうした警告板が設けられたのは、韓国人の飲酒運転習慣がなか なか根絶されないからのようです。 警察は、韓国食堂の周辺に私服警官を配置し、飲酒の取り締まりを行ったりもしたが、それほどの効果がなく。 警察側は、また「運転中に通話する韓国人も少なくなく、携帯電話の使用を禁じるキャンペーンも同時に行っている」と伝えています。
韓国人会側は「ハングルの警告板が登場したのは、韓国人社会への配慮でもあるが、韓国人がそれだけ監視の対象として注目されているとのことを意味する」との見方を示しているようです。
・その他諸外国の現状
飲酒運転の罰則ですが、フィンランドやスウェーデンでは重労働を伴う1 年間の懲役。
ノルウェーでは初めての違反の時は重労働を伴う3 週間の懲役、さらにその後5 年間以内に2 度目の違反を犯すと、生涯にわたって運転免許を取り上げるようです。
イギリスは、1年間の収監、250ドルの罰金、1年間の免停が科せられます。南アフリカはかなり厳しく、10年間の収監、1万ドルの罰金の両方が科せられます。
ロシアでは運転免許を生涯にわたって取り上げられ、オーストラリアにいたっては「酔っ払いに付き拘束中」という見出しと共に、飲酒運転者の名前が地元新聞に掲載され、刑務所暮らしだということが公表されてしまいます。また、マレーシアでは、飲酒運転者本人だけでなく、その配偶者も投獄されるそうです。
トルコはユニークで酔った運転者は郊外に連れて行かれ、酔い覚ましに十分な距離を警察のエスコート付きで歩いて帰らされるそうです。
殺人罪以上に厳しい国もあり、エルサルバドルは初犯から、ブルガリアは2 度目から極刑(銃殺刑)が適用されます。
ちなみに、カナダでは、電動車イスで公道を「飲酒運転」した男に対し、道路交通法違反による罰金刑が科せられたら例もあるようです。男は600カナダドル(約7万円)の罰金が科せられ、1年6月の保護観察処分を受けることになりました。
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