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【産経抄】5月13日
このニュースのトピックス:産経抄
早いもので四川大地震が発生してから1年がたった。マグニチュード8・0の激震は、約8万7000人の死者・不明者を出した。震源地に近い北川チャン族自治県を取材した河崎真澄記者のルポによると、多くの建物はひしゃげたままで、あちこちから故人を悼む爆竹の炸裂(さくれつ)音とすすり泣く声が聞こえたという。
▼追悼式典が開かれたきのう、小欄も亡くなられた方々の冥福を勝手に祈らせていただいた。残念なのは、校舎倒壊で多くの生徒が死亡し、一部の親が「手抜き工事が原因だ」と訴えている中学校を取材した外国人記者が何人も公安当局に拘束されたことだ。
▼警官は記者に「負の側面の報道をするな」と再建された学校だけを報道するよう要求した、と共同通信は伝えている。中国は被災地のインフラ復旧を急ピッチで進めており、「復興する被災地」を内外に強くアピールしたいのだろう。
▼中国メディアは、共産党や政府の方針に沿って何事も「明るい側面」を中心に報道しているようにみえる。小欄も中国の記者から「なぜ産経は中国を悪い方からしか見ないのか」と詰問された経験がある。
▼中国報道に限らず、「負の側面」だけ焦点をあて針小棒大の報道をするのは、公正ではない。だが、「負の側面」に目をつむり、追及の矛先を鈍らせれば、同じ悲劇を繰り返すはずだ。それでは亡くなった子供たちも浮かばれまい。
▼民主党の小沢一郎氏も代表辞任会見で、「私がメディアの批判の矛先の相手になった」と、彼の「負の側面」にメスを入れてきたメディアに不満をぶちまけた。でもなぜ、自分が批判の対象になったのか、いまだにわかっておられないようだ。第一、ここは中国じゃありませんよ。小沢さん。
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