家賃を滞納した入居者に退去を迫る「追い出し屋」など家賃債務保証をめぐるトラブルが2008年度に全国で428件発生し、4年前の9.7倍に急増していることが12日、国民生活センターのまとめで分かった。九州・沖縄は42件。「追い出し屋」被害では、住居のドアノブに金属製のカバーを無断で取り付けられた宮崎市の男性が債務保証会社を提訴するなど訴訟も相次いでおり、国土交通省は、業者の登録制など法的規制の検討に入った。
同日開かれた社会資本整備審議会・専門部会で報告された。
家賃保証債務会社は、アパートなどを借りる際に連帯保証人を用意できない賃借人から保証金を受け取り契約。家賃を滞納した場合、同社が家主に立て替えて支払い、賃借人に支払いを求める。主に低所得者を対象にした、敷金や礼金がいらない「ゼロゼロ物件」とともに10年ほど前から普及し、現在は不動産賃貸契約の約4割で利用されているという。
国民生活センターによると、08年度に相談を寄せた賃借人のうち3人に2人は20‐40代。相談では「家賃を1カ月滞納すると保証会社が毎晩取り立てに訪れ、訪問料を課せられた」「1日に何度も電話があり、ドアに張り紙もはられた」などの強引な取り立てや「本日中に払わないならば『出て行け』と脅された」という事例もある。
昨年10月以降の下半期の件数が、全体の7割を占めており「雇用環境の悪化や収入の低下も増加の背景にある」と、国交省住宅局はみている。
家賃債務保証業務は法的な規制がなく、審議会では、国交省が業者の登録制度などを提案した。ただ、委員からは「故意に滞納する賃借者もいる。業者だけを悪者扱いするのは疑問」という慎重論もあった。
=2009/05/13付 西日本新聞朝刊=