賃貸住宅で連帯保証を請け負う不動産業者らが、家賃を滞納した借り主を強引に閉め出す「追い出し屋」被害が広がっている問題で、国土交通省は家賃保証業務を規制する方針を固めた。追い出し行為を行政処分できる法律の制定を軸に検討し、8月までに素案をまとめる。
国民生活センターによると、家賃債務保証をめぐるトラブルの相談は全国で04年度の44件から、08年度には428件と急増。しかし、家賃保証業務は、宅地建物取引業法や借地借家法の対象外で、監督官庁がなかった。その結果、深夜早朝の督促や鍵交換、家財撤去など違法性の高い行為が事実上、野放し状態になっていた。
このため、国交省は早急な対応が必要と判断。12日に開かれた社会資本整備審議会「民間賃貸住宅部会」で、(1)新法の整備(2)登録制の導入(3)ガイドラインの公表――の3通りの規制を検討することを明らかにした。
新法の場合、家賃保証業務を許可制とし、違反業者を営業停止などにする行政処分や刑事罰の規定を入れる。
国交省は「最も迅速な対応が可能なのは許可制」としている。早ければ7月末にも、3案それぞれの原案を盛り込んだ中間報告を作成。年末までに規制の中身を決める。(室矢英樹)