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さいたま市長選/医療どう充実

2009年05月10日

◇小児救急受け皿に課題も/「医師増やす施策が必要」

 県都・さいたま市は政令指定都市の中でも、医療態勢の整備が十分ではないと言われる。国公立大の医学部がないから、というのが多くの医療関係者の共通認識だ。「医療の充実」を掲げる立候補予定者は多いが、具体的な「処方せん」を示せるのか。

   ◇   ◇

 1日、区ごとの大きな地図に救急医療機関の情報入りの市の医療マップが配られた。

 「ここは医療に関してはちょっと遅いのかな」。中央区の主婦(38)は思った。小学2年(8)と幼稚園(5)の2人の娘がいる。3月まで暮らした愛知県のある市では、同様のマップは前からあった。小学3年までの医療費も無料だった。地図には小児科11、産婦人科6など市内25の救急病院や、休日・夜間診療(5カ所)などが載る……。

 救急車を呼ぶまでではなさそうだが、子どもが夜中に発熱などしたときの受け皿が初期小児救急だ。市内で唯一、深夜〜翌朝の初期小児救急医療を担ってきた大宮医師会市民病院(北区)が2月に閉院した。午後10時までは社会保険大宮総合病院(同)が引き継ぐことになったが、翌朝までの受け皿探しが難航した。

 市内4医師会や拠点病院などが医師や看護師を同総合病院に派遣する協力態勢が固まり、午後10時以降も同総合病院で診ることになった。ただ、内科はマップの5カ所のいずれも深夜〜翌朝の診療は「空白」だ。

 さいたま市でも医師不足は深刻だ。厚生労働省の調査(06年度)では、人口10万人に対し、医療機関で働く医師数は145・2人で政令指定都市中最下位。小児科医は11・7人で同ワースト2だ。救急医療現場の勤務医は当直明けで通常勤務に入るなど過酷で、ある病院幹部は「燃え尽き症候群寸前の医師も少なくない」と漏らす。

 市は10月から、未就学児に限っていた通院医療費の無料化を小中学生にも拡大する。0〜中学卒業までの入院・通院医療費が無料となり、市は「政令市で初」と胸をはる。対象拡大分の年間経費は約18億円、全体では約38億円。

 市内の救急病院のある男性医師は「普通の風邪まで無料にする必要があるのか。急病でもないのに、夜間に救急に来る例が増えるのでは」と心配する。「受け皿となる医療態勢はどうするのか。さいたまで働こうと思う医師を増やす施策や努力こそ必要ではないか」と話す。

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