JALとホスピタリティ
巨額な赤字と度重なる運行トラブルは「ナショナル・フラッグ・キャリア」と言われたJALブランドのイメージを悪化させ、さらなる乗客離れを加速させているようです。
そこで今日は、このJALの安全性について少しだけ私見を述べてみたいと思います。
昨年10月14日のログ ホスピタリティ 3つの大きな着眼点とは でホスピタリティの3要素は「安全」「おもてなし」「居ごこち」であると書きました。
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「ホスピタリティがあふれる状態であるか」「そうではない状態であるか」を判断することができる三つの柱があります。
それは「ホスピタリティあふれる状態」を成立させるために欠くことができない三大要素とも呼べるものです。
1、安全、安心の状態であるか
2、おもいやりのある状態か
3、居ごこちの良い状態か
この3つです。
英語のキーワードは
1、Safety セーフティ
2、Courtesy コーテシー
3、Amenity アメニティ
です。
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安全第一、当たり前のことですが、JALはなぜトラブルを多発させてしまうのでしょうか。
その答えは私には分かりません。
旧日本エアーシステムとの統合に問題があった。労使関係がうまくいっていない、などと言われてはいますが、実際に現場を見たわけではありませんので、これが原因であると断定することは控えさせていただきます。
それでも、これだけは言えるということがあります。
それは、競合他社との競争の激化から派生するものです。ここでは詳細は述べませんが、JR福知山線の脱線事故の発生原因の一つとされる「経済運行」というものです。
事故を起こしたJR西日本は、競合他社との競争に勝つために安全を最優先させませんでした。
もし、JALがJR西日本と同じであるとすれば大問題ですが、私はそんなことはない、JALの運行ポリシーは過去も現在も「安全第一」であるものと信じています。
トラブルを多発させる要因の「経済運行」
耐震強度偽装問題での「経済設計」が問題になっていますが、両者に共通するこの「経済」とは「効率的」のことです。
JALの場合は効率を求め機体の整備一部を海外の業者に委託しています。日本で行うより「効率的=経済的」であるからです。
そして、さらにJALが「効率的=経済的」でなくてはならない理由を追求すると、行き着く先は「格安航空券」の存在である、私はそうように結論付けています。
今や、東京、ロスアンゼルスの往復航空券は25、800円で購入できます。東京、パリ間でも51、000円です。
私はJALの現状をつくりだしている真因は
「安ければ安いほどいい」という日本人の考え方にある。
このように考えています。
なぜ、こんなに安いのか?
こんなに安く提供して、従業員に給料を払えるのか?保守管理ができるのか?
このようなことを考えもせずに安いものに飛びつく日本人。
確かに、航空会社は違っても使用している機体は同じ機種であり、航空運賃は安いほうがいいに決まっていると言うこともできるでしょう。
しかしながら、
競合する海外の航空会社とは賃金体系が全く違う日本の航空会社にとっては、この格安航空券の存在が会社の存亡をも脅かすものになってきている、
このようにも言うことができるのではないでしょうか。
このブログはホスピタリティブログですのでこれ以上書きませんが、格安航空券に代表される「価格至上主義」はホスピタリティの第一要素である「安全第一」の環境づくりの妨げになるものです。
さらに、耐震強度偽装問題をみるまでもなく、全ての企業にとってこの「価格至上主義」こそが、日本人の「安全、安心」を脅かす存在になってきている。
そのことだけは間違いではないと私は確信しています。
次にJALの安全性について
私はJALの安全性には問題はないと考えています。
それよりも国土交通省の体質や姿勢のほうが問題であると考えています。
松山空港(松山市)で昨年9月、小型機が着陸に失敗して滑走路上で立ち往生するトラブルがあった際、同空港の管制官が小型機に着陸許可を出し忘れる管制ミスをしていたことが分かったが、「事故とは関係ない」と公表しなかった。宮崎空港で管制官が日航機に管制指示を出し忘れるミスが26日に発覚した際も同省は、「これ以外に同種トラブルはない」と事実に反した発表をしている。
(2005年9月17日読売新聞より一部引用)
さらには、羽田空港での閉鎖中の滑走路への誤誘導問題も記憶に新しいところです。
数年前には、NW(米ノース・ウエスト)航空の部品落下などのトラブルが連日のように報道された時期もありました。
日本のマスメディアには見えない部分を全く知らずに、表にでてきた現象だけをオーバーに報道するという特性があります。
中身の見えない国土交通省のほうが「安全性」に問題がある恐れがあるかもしれない、ということなのです。
最後になりますが、
私がJALの経営陣に望むのは以下の通りです。
JALのトラブル防止のためには、何よりも今働いているJALスタッフのモチベーションをこれ以上低下させないで欲しい、反対にスタッフのモチベーションを高める努力をして欲しい。
それだけです。
「経済運行」より「安全運行」 「価格第一」より「安全、安心第一」
そして、安全な環境をつくり出すことができるのは、スタッフという「人間」だけです。
このことはホスピタリティ経営の鉄則であり、現場運営の鉄則であるということなのです。