2009年5月13日11時30分
「3年間、ふつつかな私にご協力、ご支援いただき心から感謝を申し上げる」
12日午前の民主党役員会・常任幹事会。小沢氏がしおらしかったのは、辞任あいさつぐらいだった。
代表職の重圧から解き放たれたのだろうか。「剛腕小沢」が突如、復活した。
複数の出席者によると、小沢氏は4人の役員をにらみつけた。一人ひとり指さし、こうまくし立てたという。
「福山、長妻、安住、野田、この4人組。お前らいっつも反対反対と。最後くらい言うことを聞け!」
視線の先には野田佳彦広報委員長、安住淳国対委員長代理、福山哲郎・長妻昭両政調会長代理がいた。鳩山由紀夫幹事長が提案した16日の両院議員総会での新代表選出案に異論を唱えた面々。いずれも小沢氏と距離を置く議員だ。
16日は土曜日。鳩山氏は「補正予算審議への影響を最小限にし、突然の解散にも備える必要がある」などと説明し、理解を求めた。しかし、非小沢系の幹部からは「投票日は土日をまたいで有権者の意見を聞いたほうがいい」といった異論が相次いでいた。
小沢氏の「毒舌」は、終わらなかった。ベテラン参院議員の北沢俊美副代表が「(現職ではない)立候補予定者にも選挙権を与えるべきだ」と主張すると、小沢氏はこう吐き捨てた。「北沢先生のご発言とも思えない」
了承を求められて、自ら「異議なし!」と大声をあげる場面もあったという。
強気の小沢―鳩山ライン。非小沢系議員の多くがかぎとるのは、小沢氏から鳩山氏への「禅譲狙い」の思惑だ。実際、小沢氏支持派の多くが鳩山氏待望論を唱え始めた。鳩山氏なら小沢氏の意をくみ、影響力を保てる――。そんな思惑が透けてみえるのだ。
世論調査では、小沢執行部と距離を置いてきた岡田克也副代表がしばしば「ポスト小沢」の筆頭にあがる。そんな岡田氏にとっては有権者の声が議員に伝わる土日をはさんだ代表選の方が有利に働く。