ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン埼玉> 記事

さいたま市長選/駅のにぎわい どう誘う

2009年05月09日

写真

大宮駅東口。飲食店などがひしめく商店街が広がっている=さいたま市大宮区

◇悩む大宮「東口」 進まない再開発

 「駅ナカ」や鉄道博物館のにぎわいを、いかに街に呼び寄せるのか――。首都圏屈指の交通の要・大宮駅周辺にとっては大きな課題だ。開発が進む西口と、長年の再開発計画が具体化しないままの東口。さいたま市と地元商店街は、魅力のある街づくりができるか。

   ◇   ◇

 「博物館の来場者の数パーセントでも商店街に来てくれれば」

 さいたま市大宮区にある埼玉新都市交通の鉄道博物館駅のコンコースで、大宮東口商店街連絡協議会長の新井正男さん(64)は嘆いた。傍らのワゴンには市の土産物と東口にある16商店街のガイドマップがある。QRコードをつけ、商店街の情報を携帯電話で入手できるようにした。

 大宮で生まれ育った。70年代、商店街にジーンズを売る衣料品店を出した。フォークミュージックやグループサウンズの影響で、若者を中心にブルージーンズが大流行していた。「仕入れると次々売れた。商店街には活気があり、もうかって仕方ないと言う仲間もいた。街へ行くと言えば東口を指したもんだ」

 大宮は県の商業の牽引(けんいん)役だ。国の商業統計調査によると、07年の卸売業と小売業を合わせた商品販売額は県全体で約15兆1500億円。うち大宮区は約1割の1兆4600億円で04年の3割増。大半は1日平均65万人が利用する大宮駅周辺とみられ、区部を除いて大宮に次ぐ川口市(9600億円)を大きく引き離す。一方、県庁や市役所がある浦和区は2800億円で、04年に比べ約3割減った。

 「大宮は本当に恵まれた都市。シャッター商店街のまちからすると、うらやましくて仕方ないだろう」。でも「発展の可能性を十分生かせていない」と感じている。

 東口は現在、幾筋もの商店街がのび、飲食店や雑貨店がひしめき合う。道幅は狭いと2メートルほど。改装したのは1階店舗だけで築50年近い木造の建物も少なくない。売り上げ減と店主の高齢化で、個人商店が店をたたみ、テナント化が進む。

 「テナントとして貸せば、地主は生活できる。でも、このままでは東口の衰退は目に見えている」

 東口にも、再開発計画はあった。83年に都市計画が決まり、東口約2・4ヘクタールを整備、商業ビルを建設し、道路幅を広げる予定だった。だが、地元地権者の反対などから約20年間進まず、さいたま市が04年に白紙撤回した。

 商店街間の温度差もあり、再開発の機運は高まらない。「代がかわれば相続で権利が複雑になり、再開発の手間は何倍にもなってしまう。早く手を打たなければ」と新井さんは危機感を募らせる。

 82年の東北・上越新幹線開業で一気に開発が進んだ西口。その後も、ソニックシティやそごう大宮店などができ、05年3月に駅構内に「駅ナカ」の愛称で「エキュート大宮」が誕生。1日の購入客数は3万2千人、年間売上高は約100億円を超える。07年10月には鉄道博物館が開館、年141万人が訪れる。

 新井さんは思う。「どう街を、商店街を歩いてもらえるか、東口も西口もなく、行政と一体で知恵を出す時だ」

PR情報
朝日新聞購読のご案内

ここから広告です

広告終わり

マイタウン地域情報

ここから広告です

広告終わり