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  •  困窮の様子を伝える永井荷風自筆の書簡

    困窮伝える永井荷風の書簡発見  終戦翌年、知人に布団頼む

     小説「☆東綺譚」などで知られる作家永井荷風(1879-1959年)が、自らの戦後の困窮の様子などをつづった書簡が13日までに見つかった。空襲で焼け出された後、知人に布団を送ってもらうよう頼むなど、生活に腐心する姿が分かる。耽美的で孤高、「隠者」とも評される荷風の珍しい一面がうかがえる。

     書簡は46年8月17日付。親しかった歌舞伎役者の市川左団次(40年死去)の妻にあてた封書で、近況に続けて「(夜具は)ずゐぶん汚い品物ですから御所持の御ふとん 杏花子(左団次)の形見故是非おゆづり下さるやう御願致ます」と頼んでいる。

     荷風が「偏奇館」と名付け、1人暮らした自宅は45年の東京大空襲で焼失、戦後は千葉県市川市でいとこ一家と同居を始めた。隣室のラジオの音などに「さわがしく夜もべんきやうすることが出来ません」と記し、「今のところ麻布へ家をたてるわけにも行きません」と預金封鎖で苦しい事情を伝えている。

     封書は今年冬、東京都内の古書店で売りに出された。騒音に閉口した当時の姿は、荷風の日記「断腸亭日乗」にも見られるが、布団のことなどは書かれていない。

     中島国彦早大教授(日本近代文学)は「人との暮らしにリズムが合わない様子などを裏付ける新発見の書簡だ。文学的評価とは別に、困窮した姿がより具体的にうかがえる点が興味深い。同居によって、弱さや隠れていた人間性が文面に表れたのだろう」と指摘する。

    (注)☆はサンズイに墨

      【共同通信】
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