2009-05-13 別種のトンデモ論文−駒場学派補遺
芳賀・平川時代に「トンデモ修論」がいくつかあった、と書いたが、その一つは私のである。あれは創造的誤読評論だが、学術論文ではない。
ただ、そういう、無理やり関係ないものを比較したみたいなのとは別の意味でのトンデモ論文が、五年くらい前に出たことがあった。
合評会で私が評者になったので、読んでぎょっとした。エマソンが「詩人」と対比して「sensual man」と書いているのを、北村透谷が「俗人」と訳している。なぜ透谷は俗人と訳したのか、が論じられているのだ。
「sensual man」は「俗人」である。それで古い『エマソン選集』が、当時まだあった教養学科図書室にあったので見てみたら、斎藤光が「官能的な人」と訳していた。この斎藤光というのは性科学者の人じゃなくて、英文学界の重鎮で孫に殺された斎藤勇の長男で東大教養学部教授だったが、著書も『エマソン』一冊しかないし、よほどのダメ学者、親の七光り学者だったようだ(まだ生きている?)
こんな論文、活字にして、英文学者に見られたら大恥ではないか。
だから合評会ではさんざんなことになったのだが、若い彼が間違うのはいいとして…いや良くないが、脇で聞いていた指導教員らしい某教授が「それ、OEDの何番?」と訊いたので、私は、OEDなんか見なくたって普通の英和辞典に出ています、と言ったのだが、このレベルの人が東大教授で指導しているから、こんな論文が活字になるような大へまをやらかすのだ、と思った。平川先生だったら、載せる前に読んで気づくのである。その程度には立派な実力はあるし、私も英単語の発音が変で平川先生に笑われたことがある。ダメな学生を笑う教授のほうが、自分がダメな教授よりはいいに決まっている。
まあ今では井上先生とか、佐藤光とか(名前は斎藤光に似ているが)いるから大丈夫だろうが・・・。
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がんは早期発見が大切とか、中川恵一先生そ知らぬ顔で書いていたけれど、肺がん検診を受けている人と受けていない人を抜き取り検査したら、受けている人のほうが死亡率高かったんだよ。だから肺がん検診やめたの。つまり、レントゲンの放射能で発症するってこと。私は十年以上レントゲン放射は浴びてません。