2009年3月4日(水)「フジテレビ30年史」制作秘話@〜開局一発目の映像〜
フジテレビ開局記念日の3月1日が日曜日だったため、翌2日の夜に開局50周年パーティが行われ、節目の年を迎えることのできた社員と協力会社の人たちが集まりました。そこで開局当時の記録映像なども流されて「フジテレビ30年史」をやった時の記憶が走馬灯のように甦って来ました。ところで、そういえばまだ「フジテレビ30年史」の制作裏話を詳しく書いていませんでしたね。そこで今日から何回かに分けて、それを書こうと思います。
この番組はフジテレビ開局30周年特別企画で、横澤彪さんがゼネラルプロデューサーになってから最初に手掛けた大型特番だったと記憶しています。横澤班を3つにのれん分けして初めて手掛ける特番でしたが、横澤さんはそんな大番組のディレクターにひょうきんディレクターズではなく、「いただきます」で横澤班のディレクターに加わった小畑芳和さんを指名したのです。しかもディレクターは小畑さんだけです。僕が思うに、小畑さんが「いきなりフライデーナイト」で「実写版鉄人28号」「実写版マグマ大使」「少年ジェット」など過去の素材をまるまる見るコーナーをやって当てたのと、その発展形で「ラブラブショー」など過去の番組を再現した「ぼくら冒険王」という特番を「金曜おもしろバラエティ」枠で2回やって成功させた実績を横澤さんがちゃんと評価していたからこその大抜擢だと思います。
そんなわけで、小畑さんの下で「いきなりフライデーナイト」もやっていた僕は、当然の成り行きでこの大番組のチーフADとして参加することになりました。他のADは代々木君(現・スマスマD)と笠井君(現・ごきげんようD)など「いきなりフライデーナイト」のメンバーと「いただきます」の深水君(現・営業局名古屋支社長)などでした。さすがにこの時はレギュラーで「オレたちひょうきん族」と「いきなりフライデーナイト」はあるし、毎年やっていた特番の「広告大賞」も同時に抱えていたから、30年分の素材を洗い出さなくてはならない「フジテレビ30年史」の仕事が増えたのはめちゃくちゃ大変でした。しかし非常にやり甲斐のある仕事でした。
この番組のADとして最も大変だったのは取材及び素材集めでした。社内の先輩やOBに話を聞いたりする方が早かったりするので、取材も作家さんに頼まずに自分でやりました。また、構成会議で横澤さんたちが欲しいと言った番組の映像を探しに毎日のように編成資料部の八木さんの所へ行って、フジテレビの過去の番組が残っているかなど調べました。
まずは何と言っても開局当日の一発目の映像を集めなければならなかったので、その映像を探しに編成資料室に行きました。しかし唖然としました。我々が欲しかったフジテレビの記念すべき最初の放送である昭和34年3月1日午前9時20分からの「社長挨拶 水野成夫」は、会社の資料として撮影風景はフィルムで撮っていたけれども番組VTRとしては残っていなかったのです。
僕が生まれる前に既に開局していたフジテレビですが、驚いたことに意外にも昔はVTRというものがほとんど保存されていなかったのです。フィルムで撮ったものは残っていましたが、当時生放送だったものは皆無と言っていいほど保存されていなかったのです。テレビ創成期において、「放送」とは文字通り「送りっ放し」だったのです。
そんなわけで、開局当日の最初の映像を手に入れたかった僕は挫折感でいっぱいになりました。しかし途方に暮れている中、1つのアイデアが浮かびました。最近は早起きしていないから見ていませんが、今でもフジテレビでは1日の番組が始まる前に「オープニング」の映像が流れているはずです。CG映像の最後に「JOCX-TVフジテレピ」というコールサインが出るやつです。そういうオープニングが開局当時もあったはずだと思ったのです。
そこで僕は放送部のマスター室を訪ねました。そして聞き込み調査をしたら、ベテランの森さんが大切に保存してくれていた16ミリフィルムの中に、開局当時のオープニングとクロージングの映像が残っていたのです! 富士山の上に電波が出て「8」がスーパーされた後にフジテレビと出るモノクロの映像です。今回の「歌の50年」と「報道の50年」でもその映像を使っていたと思います。僕がフィルムを1インチのテープにダビングして編成資料室に保存しておいたから、その後いろいろな番組で使われるようになったのです。貴重な映像を保存していた森さんに感謝です。(つづく)
投稿:清水淳司 | 2009年3月10日(火) 16:52
投稿:おうじろう | 2009年3月5日(木) 2:37
この清水さんのブログ読んで見たくなり、ビデオ棚あさっちゃいました。笑
エンディングのスタッフロールで清水さんのお名前を確認でき、うれしかったです(^O^)
投稿:まあ | 2009年3月4日(水) 21:33