不発弾が市民に被害を与えているクラスター爆弾の保有や使用を禁じる「クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)」の批准案が12日、衆院本会議で全会一致で可決された。参院でも可決が見込まれており、日本は近く批准する見通し。主要国では最も早い動き。批准に手間取る各国に影響を与えるとみられる。中曽根弘文外相は、各国に署名するよう働きかけを強め、不発弾処理に協力することに意欲を示した。
同条約は、ノルウェーなど有志国が主導する軍縮交渉「オスロ・プロセス」で議論され、昨年12月に日英仏独など94カ国が署名した。加盟国は現在、96カ国。批准したのはノルウェー、オーストリア、メキシコ、アイルランドなど7カ国。
日本は当初、「安全保障上の懸念」などを理由に条約策定に消極的だったが、欧州諸国が積極姿勢に転じたのを受け方針転換した。
署名後も防衛省や自民党の一部で反発が強く、禁止対象の例外とされる「最新型」のクラスター爆弾への代替を求める声も強かった。しかし、政府は人道的被害を重視したほか、核軍縮を訴える国としてのイメージダウンを懸念。全廃を決めた上で、条約批准案を国会に提出していた。
条約案は参院での承認を受け、国連事務総長あてに文書が寄託され、正式な批准(受諾)手続きが完了する。
条約は30カ国が批准した時点から約半年後に発効。批准国は、発効後8年以内に爆弾を廃棄する義務がある。
今国会には「クラスター爆弾禁止法案」も提出されており、近く審議に入る。【鵜塚健】
毎日新聞 2009年5月12日 13時44分(最終更新 5月12日 14時03分)