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森山堤防で28年ぶり潮通し 「昭和の国引き」閉幕へ

2009年05月12日

 農水省中海干拓建設事業所は十一日、中海・旧本庄工区の森山堤防(島根県松江市)の一部開削工事の仕上げとなる仮設鋼矢板の引き抜き作業に入った。中海の五分の一を占める同工区の干陸中止に伴う事後処理で、同堤防が閉め切られた一九八一年以来、二十八年ぶりに境水道からの本格的な潮通しが復活した。作業完了まで四、五日間かかる予定。

1本ずつクレーンで引き抜かれる仮設鋼矢板=11日、松江市八束町・美保関町境の森山堤防

 境水道と中海の本庄水域を隔てている森山堤防(三・一キロ)の一部開削工事は、松江市八束、美保関町境界付近を幅六十メートル開削(深さ六メートル)し、十トン級の船が航行可能な高さ五メートルの道路橋を架ける計画。約七億円をかけて二〇〇七年四月に着工し、橋は昨年九月に完成、海上などから掘削工事を行ってきた。

 幅七〇・八メートルにわたって仮設鋼矢板が計百七十四枚打ち込まれており、この日午前十時から作業開始。境水道側から起重機船で幅四十センチ、長さ一〇・五メートルと一七・五メートルの鋼矢板を吊り上げていった。

 「昭和の国引き」と言われた国営中海土地改良事業は一九六三年に着工以来、最大工区の干陸中止、中海・宍道湖淡水化中止と大きく軌道修正。事後処理として継続中の西部承水路堤の撤去、農業用水確保対策を経て、二〇一〇年度に半世紀近い歴史に幕を下ろす。総事業費は千百五十五億円。



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