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砂川裁判:米大使との密談、最高裁など「不開示」--「記録なし」

 米軍立川基地にデモ隊が侵入した「砂川事件」の最高裁判決(1959年)を前に、当時の駐日米大使と最高裁長官らが密談していたことが米国の公文書で判明した問題で、日本側の関連情報の開示を求めた元被告の土屋源太郎さん(74)=静岡市葵区=らに対し、最高裁、外務省、内閣府の3機関がいずれも「不開示」を通知していたことが分かった。土屋さんは不服申し立てをする方針。

 請求をしたのは土屋さんと「砂川事件の情報公開を請求する会」(塚本春雄代表)。今年3月、裁判を巡る日米関係者の秘密協議に関する記録を開示するよう求めた。しかし、3機関とも今月7日までに「記録がない」として不開示を通知した。

 砂川事件を巡っては、東京地裁が59年3月30日に、基地の存在を違憲とし土屋さんらを無罪とする判決(伊達判決)を出している。08年4月に米国立公文書館で見つかった外交文書には、この判決の翌日に、当時のダグラス・マッカーサー2世駐日米大使が高裁への控訴を飛ばす跳躍上告を藤山愛一郎外相に勧めたことや、田中耕太郎最高裁長官が大使とひそかに協議し、上告審の時期について見通しを語っていたことなどが記されていた。

 土屋さんは「日本に文書がないというのはおかしい」と話している。【野口由紀】

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 ■ことば

 ◇砂川事件

 1957年7月、東京都砂川町(現立川市)にあった米軍立川基地の拡張に反対するデモ隊の一部が基地に立ち入り、23人が日米安保条約に基づく刑事特別法違反容疑で逮捕された事件。7人が起訴され、1審・東京地裁は安保条約による米軍駐留は憲法9条に違反するとして全員を無罪としたが、最高裁大法廷は59年12月に1審を破棄、差し戻しを命じた。7人は罰金2000円の有罪が確定。

毎日新聞 2009年5月9日 東京夕刊

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