「大相撲夏場所2日目」(11日、両国国技館)
場所直前の8日に開催された、横綱朝青龍らモンゴル出身力士の親ぼくゴルフコンペが“天敵”の怒りに火をつけた。日本相撲協会の生活指導部特別委員会外部委員で漫画家のやくみつる氏(50)が、現在作成している力士の生活指導手引書に「番付発表後、場所前の親ぼく会を慎むべし」との文言を加えるべきとする意見書を日本相撲協会に提出した。「ゴルフ騒動は解決済み」とする論調が協会内に漂う中の強硬論。豊真将を退け2連勝とした朝青龍にとっては疎ましい状況となった。
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場所前の“ゴルフ騒動”をよそに土俵で躍動する朝青龍を、やく委員は冷ややかな目で見つめていた。今場所初めて両国国技館で生観戦。意見書を提出した理由を淡々と説明した。
「世間では『なんでいきりたつ必要があるのか?』という声もあるようですが、真剣勝負を前に親ぼく会を開くのはよくない。それがゴルフであれ、ボウリングであれ、お花見であれ、です」
観戦に先立ち、日本相撲協会に文書で提出。生活指導部特別委員会が作成している力士の生活指導手引書草案は、5人の外部委員による最終チェックを受けていた。基本線で納得していたというやく委員だったが、場所直前に発覚したゴルフ騒動は「言っておかなければ、という思いでした」と見過ごせなかった。
やく委員の意見は厳しく踏み込んだ内容だ。スポーツに限らず、食事会なども制限することになり、うかつに同期会なども行えない。初日に武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)が「その(ゴルフの)話題はやめましょう」と話すなど、協会内には幕引きムードが強い。正式採用への見通しは不透明だ。
やく委員は、力士のマスコミへの対応にも言及した。「丁寧に対応すべきとも(意見書に)加えました。条文化されたらマスコミの方にはそれを盾にして、適切に対応するよう言ってもらいたい」とした。破天荒な言動が多い朝青龍を意識しているのは明白だ。
目の敵にされた朝青龍だが、相撲は好調だ。高校時代にも勝ったことがある豊真将を押し込んでからのはたきで撃破。「豊真将は体が大きくなった。(高校の時は)上手投げで勝ったんだよ」と思い出にふけった。外部からの厳しい意見は、相撲で封じ込めるしかない。