新型ハイブリッド車が売れている。電気自動車の発売も控え、メーカーはエコカーへのシフトを強める。しかし、税制など購入支援の優遇は内容が複雑だ。エコカーの位置付けをはっきりさせたい。
トヨタ自動車が五月中旬に国内で発売するハイブリッド車、三代目プリウスは、発売前に異例となる六万台の受注を積み上げる勢いをみせている。ホンダが二月に発売したインサイトも、約二万五千台の注文があり、不況にあえぐ自動車産業では破格の売れ行きとなっている。
ともにガソリン一リットルで三十キロ以上走る好燃費が支持され、二百万円前後にまで下がった価格が人気を支える。プリウスはカローラと並ぶ生産量になる勢いでもある。
新型プリウスの最安値は、同じ排気量のエンジンを積んだ主力車種カローラの上級仕様車よりも安い。ハイブリッド車は特別な車ではなくなりつつある。しかも減税制度を使えば、買う時に払う自動車取得税や重量税がゼロになるお得さだ。
三菱自動車はこの夏にも、小型の電気だけで走る車を国内に投入する。家庭のコンセントで予備的に充電するハイブリッド車の試験も進んでいる。水素を使う燃料電池車はリース販売にこぎつけた。一部の車は、大きな家電といってもよいのではないか。
日本自動車工業会の大学生を対象にしたアンケートでは、興味のある製品・サービスで自動車が十七位まで落ち、ガソリンを燃料に使わない車に「賛成」とした割合も六割を超える。彼らが購買層となれば、エコカーのニーズが今以上に高まるのは間違いない。
ただどこまでをエコカーと定義するかは、はっきりしない。現在のエコカーを買う際の優遇制度は排ガスの成分と燃費を基準にしている。だが、車の進化に規制が追いついておらず、複雑な優遇条件に、消費者は戸惑うばかりだ。
燃費重視なら、取得時の負担は制度として極力軽くし、燃料を使った量に応じた負担を基本にするのも一つの手だろう。ガソリン車の大都市部での走行規制や、軽自動車の位置付けも含め、車社会のあり方まで、大きな視点で考え直す時にきているのではないか。
高性能の電池を確実にリサイクルする手法や、モーターだけで走る静かな車をどう歩行者に気づきやすくするかといった技術革新に伴う問題も、早急に洗い出して対処する必要がある。
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