ハンセン病を巡る人権侵害の教訓を今後の医療施策に生かそうと、厚生労働省が設置した再発防止検討会が12日、3年間の検討結果をまとめた中間報告書を舛添要一厚労相に提出した。医療法や医師法に分かれて規定されている患者の権利関係の条文を一本化し「医療基本法」(仮称)として整備するよう求めた提言が柱。舛添厚労相は法制化に前向きな姿勢を示した。
検討会座長の多田羅浩三・放送大学教授は報告書を手渡し「医療関係者も含め法制化に合意したのは歴史的に大きい」と説明。舛添厚労相は新型インフルエンザ問題を例に「患者の人権を守りながら新型のウイルスと闘っているが、そのかじ取りのバランスに非常に苦労している」と述べた。また「疾病を理由とする差別や偏見がある社会は先進国とは言えない」と、政府の有識者会議・安心社会実現会議などで取り上げる意向を示した。
報告書は、患者の尊厳やプライバシーの尊重などの患者の諸権利に加え、医療提供者が国に医療体制の充実を求める権利なども法律に盛り込むべきだとした。検討会は09年度中に最終報告書をまとめる。【江刺正嘉】
毎日新聞 2009年5月12日 20時27分