小沢一郎・民主党代表の11日の代表辞任表明が、2カ月後に迫った東京都議選(7月3日告示、12日投開票)に波紋を広げている。民主党内では「都議選を戦いやすくなった」と前向きな受け止め方が大勢を占める一方、自民党内には危機感も。ただし、解散・総選挙に至るまでの政局の動向も混とんとしており、“首都決戦”にどう影響するかはまだ不透明だ。【江畑佳明、市川明代、林哲平】
都議会民主党の花輪智史都議は11日、地元商店街を回っている最中、店主の一人から声をかけられた。「やっとけじめをつけたなあ。あとは誰が新代表になるかだ」。店主の言葉を自分や党への激励のように感じた花輪都議は「これまで早期辞任を求める声をたくさん聞いてきたから、これ(辞任表明)で有権者の失望が期待へと変われば」と言う。
都議選は127の議席を巡る争い。民主の現有議席は34で、48議席の自民に次ぐ第2党だ。都議選に向けてこれまでに39選挙区で50人を公認。「第1党への躍進」が目標だが、小沢代表秘書が逮捕・起訴された事件については息をひそめるように党中央の動きを見守ってきた。名取憲彦都議は「世論に注目していた」と打ち明ける。「世論調査では代表辞任の声が多かったので辞任は避けられないと思っていた」
民主党内も楽観論ばかりではない。伊藤正樹都議は「これから党が一枚岩の姿勢をはっきり打ち出すことが大事。新しい代表選びでゴタゴタぶりを見せると逆にマイナスになる」。田中良・都議会民主党幹事長は「政局より都政重視」として「代表辞任が都議選にどう影響するかは分からない。都議選では都政の争点を前面に出すことが大事だ」と強調する。
一方、都議会自民党には危機感が漂う。鈴木一光総務会長は「代表が代わって民主の党内結束が強くなると、都議選を前に小沢さんでイメージを悪くした勢いを盛り返すかもしれない」と懸念を示した。
毎日新聞 2009年5月12日 10時39分