鳥インフルエンザH5N1のヒト感染例において、単に呼吸器系感染にとどまらず全身感染を起こすということは繰り返しあちこちで報告されてきました。「強毒性」という言葉の意味するところは、呼吸器にとどまらず脳神経系・泌尿器系・消化器系・・と幅広く感染するということです。
さて、ではどうやってウイルスが全身に運ばれるのかということになりますが、どうやら白血球がカギを握っているようです。
白血球には好酸球、好中球、好塩基球・・と色々な種類がありますが、ここで問題になるのは好中球。 などの異物が入ってきたとき、「敵だっ!」と認識してやっつける働きをします。
お腹の中に赤ちゃんを抱いたまま、H5N1ヒト感染の犠牲になってしまった気の毒なお母さんを病理解剖して調べたところ、その胎盤にこの好中球が大量に見つかりました。そこで、この、胎盤の好中球を調べてみたところ、H5N1に感染していることが判明。好中球の中にウイルス蛋白やウイルス遺伝子が見つかった。
つまり、体内に入ってきたH5N1ウイルスは白血球(好中球)に乗って全身に運ばれるというわけです。
ウイルスが白血球(好中球)に進入した後、なお感染能力をもつのか、それとも、もう感染能力を失ってしまうのか、それはまだわかっていません。
もし白血球に入った後も感染能力を維持しているなら、白血球に乗って全身に運ばれてしまうことになりますし、感染能力を失うとしても、乗り移った白血球を殺して免疫系の足を引っ張ることになります。
どちらにしてもパズルのような話です。
ソースはscienceblog↓
http://scienceblogs.com/effectmeasure/2008/11/bird_flu_and_blood_cells.php
Bird flu and blood cells