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百億円投機 清水一行 光文社文庫
6つの短編の中でもドタバタコメディチックなサスペンスが面白かった。「誘拐自由」は誘拐された娘は妻と当時付き合っていた社長の子どもなのでは?と疑っていた夫が、子どもへの身代金をその社長に払わせて、横取りしようと企む。しかし作戦は二転三転して・・。

「一度の賭け」は誰が誰を殺そうとして結果誰が死んでしまったか、という舞台劇にもなりそうな話。

「百億円投機」はこれまで男がはまってしまったり、不幸になるパターンが多かった清水作品の中で百億円穴を開けてもその経験を生かして投機の世界で生きていこうとする男の姿を描いている。美人の妻をも振り切っていくところは読んでいて清清しい気分に。

短編集もなかなか目が離せません。
【2006/09/30 13:25 】 | 清水一行 | コメント(0) | トラックバック(0)
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砂の紋 清水一行 光文社文庫
サウジアラビアに商社の夫を追いかけていった妻が何者かに誘拐される。そこで偶然妻は政治活動をしているかつての恋人に出会う。妻は次第に自分に仕組まれた罠を解明し始めるが・・。家庭よりも仕事を選ぶ商社に生きる男を通して、中東の国への日本人の無関心さ、無力さをうまく描く。アラビア語を話せる日本人がほとんどいない中でイラク戦争へ自衛隊派遣なんて言っているわけだから、もしやなんにもわかってないのかなあ、って気もしますね。
中東情勢は難しい印象があるけど、この話は面白いし単純に、しかもリアルに読めます。
【2006/09/26 08:18 】 | 清水一行 | コメント(0) | トラックバック(0)
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砂の紋 清水一行 光文社文庫
サウジアラビアに商社の夫を追いかけていった妻が何者かに誘拐される。そこで偶然妻は政治活動をしているかつての恋人に出会う。妻は次第に自分に仕組まれた罠を解明し始めるが・・。家庭よりも仕事を選ぶ商社に生きる男を通して、中東の国への日本人の無関心さ、無力さをうまく描く。アラビア語を話せる日本人がほとんどいない中でイラク戦争へ自衛隊派遣なんて言っているわけだから、もしやなんにもわかってないのかなあ、って気もしますね。
中東情勢は難しい印象があるけど、この話は面白いし単純に、しかもリアルに読めます。
【2006/09/26 07:18 】 | 清水一行 | コメント(0) | トラックバック(0)
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暗黒の月曜日 清水一行 光文社文庫
暗黒の月曜日

偶然悪いことが重なったままブラックマンデーの日を迎えてしまった主人公。実際に起きたブラックマンデーを題材にした短編であるが、そこは清水一行、タダでは終わらない。強烈なラストが待つ。

その他夫婦間や男女にまつわる短編など

【2006/09/25 06:05 】 | 清水一行 | コメント(0) | トラックバック(0)
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隠花平原(上)(下) 松本清張 新潮文庫
本格推理。下巻の半分を超えたところで第二の殺人が起きるなんて・・!手紙で告白形式の以外なラストも注目。

間違えられて殺されたんじゃないかと思うくらい手掛かりの全くない殺人事件を追う被害者の妻の弟の画家。彼にも魔の手が伸び・・・。

しっかりきっちり、の推理小説。あれだけの最小限の登場人物でここまで話を膨らませられるということがやっぱり凄い!

【2006/09/24 19:46 】 | 松本清張 | コメント(0) | トラックバック(0)
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黒地の絵 松本清張 新潮文庫
「二階」
死を目の前にした夫の希望で在宅療養をした妻。頼んだ看護婦と二階で二人きりになっていることが女の勘を刺激する。実は二人は昔の恋人同士である日二階に上がると体を寄せ合い死んでいる。その後妻の取った行動は・・。途中から夫の発言がなくなっていき、ミステリアスに。

「拐帯行」
会社からくすめた金で九州阿蘇から鹿児島へ渡り心中しようとする若いカップルが、道中出会った夫婦から勇気をもらい、生きる決意をする。が、その夫婦とは・・?「共犯者」収録の「青春の彷徨」に似た構成。

「空白の意匠」
新聞の広告主である製薬会社の薬の事件を編集部がジャーナリズムだとばかりに取り上げてしまったばかりに起きる広告部長の苦悩を。

「草笛」
青春時代に同じ家に間借りしていた年上の女性の思い出。青春小説のようでもあり、推理小説のようでもある不思議な清張の世界。

「確証」
これ、面白い。妻が浮気しているんじゃないかという疑いに確証を持とうといろんなことを試してみるが、妻の方が一枚上手で何もつかめない気弱な夫。ついに売女と関係を持ち、性病を移されてみるという実験を。そして浮かび上がったのは相手とみされていた同僚ではなく意外な男だった。しかも思わぬ形で明らかになってしまう。



【2006/09/23 06:29 】 | 松本清張 | コメント(0) | トラックバック(0)
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機密文書 清水一行 集英社文庫
読んでいるとヒジョウに情けない。ここまで情けない男にはなりたくないなあ、と思いつつ、いや、でも実は、自分もいつこういうことが起きないとは限らない、と笑うに笑えない表題作「機密文書」こういうえげつない話、絶対読みたいですよねえ。ドンドン堕ちていく主人公の恐怖、一緒に味わいましょう。

その他、製薬会社の株をカラ売りし、薬害を受けたと抗議に行く話や、株主総会で暴れる話、など企業の裏話が満載の6編の短編集。


【2006/09/22 06:17 】 | 清水一行 | コメント(0) | トラックバック(0)
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小説暴落企業 清水一行 光文社文庫
泡の飛沫
タイトルどおりバブルの時期。本当にこんな社長いそうだ。バブルは人の頭を狂わせてしまう。普通に考えたらとんでもないことを平気でやってしまう。モデルが居るのかどうか知らないけど貴重な話ではあるかもしれない。

なにが祖国
仕手集団・久賀グループが買い占めた名古屋自動車の子会社静岡照明器製作所の株を引き取ってもらえなくなってしまった主人公の話。この話と「副社長」に出てくる人は同じモデルだろうか?

詰め腹
次期社長の座をめぐり、嵌め合いが始まる。会長の女を獲った獲らない、はたから見たら見苦しい争いだけど、勝利せねば出世はない。こりゃ真剣だ。

影の陰の女
会社の経理から60億円も抜き取ってしまった男とそれを使って一儲けを企む男、そしてその陰に暗躍する女。俺にゃあ縁がない世界だろうけど。

端た金
端た金といえども数百万。バブルとはこうも人間の考え方を変えてしまうのか?その端たが元になって起きる殺人事件。

六千億円の恍惚
尾上縫がモデルと思われるストーリー。彼女が用意したお金の出所と思われる地方の信用金庫のしがない支店長との関係の中に見出す。
「女帝ー小説尾上縫」という長編もある。

他、憤怒の反乱


【2006/09/21 08:02 】 | 清水一行 | コメント(0) | トラックバック(0)
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動機 清水一行 角川文庫
新聞記者に弱みを狙われ出世の道を阻まれた銀行員が、世に問うために殺人を決意する。冒頭のシーンでは大悪人のように見えるが、銀行員の頃は普通そのもの。だんだんと変わっていく姿が面白い。清水一行の小説ではよくカストリ経済誌の記者が出てくるが、今もいるのかなあ。いるんだろう。

一人の人間の心情をずっと追っていくと言うかなりの力作!

【2006/09/20 07:23 】 | 清水一行 | コメント(0) | トラックバック(0)
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黒い福音 松本清張 新潮文庫
実際に起きたスチュワーデス殺人事件を元に、作者の推理と解決を小説で表した問題作。第1部では犯人側から、第2部では捜査側から描く。中には神様しか知りえないような会話があったりするのだが、ここをきっちりぼかさずに書くことで、作品がノンフィクションではあるが、小説としても面白い展開にすることを実現している。

しかし日本の国力が弱く、わかっていても逮捕できなかった時代、もちろん全てがそうではあるまいが、キリスト教といえども謎の宗教集団だったわけで、隠れ蓑にしていろんな犯罪が横行していたのだろう。
【2006/09/19 06:52 】 | 松本清張 | コメント(0) | トラックバック(0)
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霧の旗 松本清張 新潮文庫
TVドラマに何度でもつかえそうな題材で、「わるいやつら」「けものみち」などの系列に私的にはいれちゃう。ただし、悪は今回は滅びない。その分怖さは満点!

兄の弁護を頼みに九州から上京する妹、弁護費用を負けてくれと頼むが、却下され、兄は獄死し、逆恨みされる弁護士。法と裁判制度のあり方を問う、といえばそうなんだけど、ここは難しく考えずにストーカー小説と思って楽しみたい。

後半弁護士と依頼人の立場が逆転する。通常ありえないのだけど、見事に逆転する。弁護士は全てを捨ててでもとかつての依頼人に土下座する。意外な結末で終わる・・・のかと思いきや・・・。二転三転、最後まで読めない展開が続く!
【2006/09/18 06:48 】 | 松本清張 | コメント(0) | トラックバック(0)
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或る「小倉日記」伝 松本清張 新潮文庫
或る「小倉日記」伝
弱者として生まれつき、森鴎外の研究に人生を捧げた主人公。実在するモデルがいたようだが、清張は彼に自分を重ね合わせて描いたのではないかと言う見方もあるようだ。

この短編集にはこのようなモデル小説が多く収録されている。「菊枕」は小倉在住の女流俳人杉田久女を。「断碑」は実在の考古学者森本六爾、「石の骨」は早大教授直良信夫をモデルにしていると言われている。

殺人事件は起こらないが、

「赤いくじ」では1944年の朝鮮での日本人の軍人たちの姿を描いた貴重な作品であり、まるでその場にいたかのような臨場感である。

「弱味」はこの短編集の中では異質で、浮気現場で泥棒に逢ってしまい、助けを求めた男にずるずると引きずられていくままになってしまった都市計画課長の話。

「箱根心中」は作者得意の心中ばなし。心中ネタにもいろんなパターンを持ち合わせているので心中ファン?には必見


【2006/09/17 17:31 】 | 松本清張 | コメント(0) | トラックバック(0)
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