【社会】新型インフルの致死率はアジア風邪級2009年5月12日 夕刊 【ワシントン=共同】世界に広がっている新型インフルエンザの致死率は1957年のアジア風邪並みの約0・4%で、感染力は季節性インフルエンザよりも強いとする初期データの分析結果を、国際チームが11日、米科学誌サイエンス(電子版)に発表した。 チームは、世界保健機関(WHO)の世界的大流行(パンデミック)評価に携わる英ロンドン大インペリアルカレッジなどで「20世紀に起きたパンデミックに匹敵する大流行になる可能性がある」と指摘している。 チームは、旅行者を通じた世界各国への感染拡大の状況などから、4月末にメキシコで感染者は2万3000人いたと推計。当時の死者数から、感染後の致死率は約0・4%で、1918年出現のスペイン風邪(約2%)よりは低いが、アジア風邪(約0・5%)に匹敵するとした。 1人から何人に感染するかを示す感染力は、1・4−1・6人と推計。季節性のインフルエンザよりは強く、1・4−2人だった過去のパンデミックの低い方に近いという。 メキシコでは、1月12日ごろに最初の1人に感染し、4月末までに人から人への感染が14−73回繰り返されたと推定されるという。今回の解析では、最も早く感染が確認され、住民の半数以上が発症したベラクルス州ラグロリアが発生地になったとの説を支持する結果が得られたとしている。 【アジア風邪】 1918年に出現したスペイン風邪、68年の香港風邪とともに、20世紀に世界的に大流行した3回のインフルエンザのうちの一つで、57年に香港で表面化した。起源は中国南西部との見方もある。2波にわたって世界中に広がり、死者は200万人以上とされる。日本でも数千人が死亡した。ウイルスはA型インフルエンザのH2N2型。 (ワシントン・共同)
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