ゼロゼロ物件:家賃保証会社に一定の規制 国交省方針

2009年5月12日 11時35分

 敷金・礼金なしで入居できる「ゼロゼロ物件」を巡り、強引に居室を明け渡しさせられた入居者が、賃貸住宅の入居者の滞納家賃を一時的に立て替える家賃保証会社を相手取り提訴する事例が相次いでいることから、国土交通省は家賃保証会社に一定の規制を設ける方針を固めた。12日の国交相の諮問機関「社会資本整備審議会」で明らかにした。強引な「追い出し行為」を抑え込む基準作りを進める。

 主に連帯保証人が不要な物件に関与する家賃保証会社は、借り主が保護される借地借家法に基づかない契約形態を取るケースが多いという。部屋への立ち入りを認める特約を結ばせたり、消費者契約法の上限利率(延滞家賃に対し年14.6%)を超える違約金を請求する業者もある。ごく短期間の滞納で厳しい取り立てをしたり、無断で鍵を交換するなどして強引に居室の明け渡しを迫る「追い出し行為」も横行し、国交省によると、国民生活センターへの相談が06年度89件から08年度428件と急増している。

 同省は、部屋への無断立ち入りや鍵の交換は「住居侵入罪や民法上の不法行為にあたる可能性がある」と判断。財務内容や契約件数などを考慮し、許可制▽登録制▽ガイドライン策定--のいずれかの方法で適正な家賃保証会社かどうかを選別できるようにする。

 また、不動産管理会社や貸主が追い出し行為を行う場合もあることから、家賃保証会社だけを対象とすることには限界も予想されるため、新法を検討しながら今夏をめどに具体的な規制策をまとめる。【石原聖】

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