2009年5月11日19時25分
日本銀行は11日、09年3月期決算で自己資本を増強するため、資本に繰り入れる法定準備金を積み増すことを財務省に申請した。毎年、最終利益の5%を資本に繰り入れる決まりだが、今回は3倍の15%を積み立てる方針で、財務省も応じる見通し。金融危機後、コマーシャルペーパーや社債など、リスクのある資産を購入しているのを踏まえた措置で、準備金の積み増しは4年ぶり。
日銀法では、決算で企業の最終利益に当たる剰余金の5%を法定準備金として資本に組み入れ、出資者への配当を除いた残りを国庫に納付する。08年3月期は6407億円の剰余金に対し、5%に当たる320億円を準備金として自己資本に組み入れた。
ただ、急激な円高で日銀が保有する外貨建て資産が大きく目減りしたことなどから、09年3月期の剰余金は前期の半分程度に落ち込むとみられ、準備金も400億円超にとどまる見通し。資本増強後の自己資本比率は分母となる銀行券(紙幣)発行残高の増加もあって、7.47%と昨年9月末時点の7.54%を下回る。日銀が健全性の目安とする8〜12%にも届かない状態が続く。(堀口元)