2009年5月12日8時24分
ゴールデンウイーク(GW)は、どこへ行っても渋滞、行列――。こんな状況を打破しようと、連休・休暇の分散取得の検討に政府が乗り出す。経済対策を考える政府の有識者会議の提案がきっかけだ。
政府は経済危機対策に「地域別の休暇取得の促進・分散化」を盛り込み、「旅行しやすい環境整備と宿泊施設の生産性向上から重要」と位置づけた。観光庁を中心に経済産業省、文部科学省、厚生労働省などによる会議を開き、議論を進める考えだ。
首相官邸で3月にあった会議で、観光レジャー産業の星野リゾートの星野佳路(よしはる)社長が提案した。例えば、埼玉県は5月1週目、神奈川県は2週目、千葉県は3週目……と全国を8パターンに分け5〜6月で休暇を取得する。麻生首相も「どういう問題があるの?」と身を乗り出した。
経済界からは「GWはいくら飛ばしても足りない」(航空会社社員)、「閑散期の穴埋めのため、GWに高い料金を設定せざるをえない」(宿泊施設関係者)と、分散を求める声が星野氏の元に寄せられているという。
ただ、観光庁は「新制度はシンボリックだが、地域ごとに祝日を変えるハードルは高い」と頭を痛める。「昭和の日」(4月29日)や「憲法記念日」(5月3日)の意義を見直す議論に抵抗も予想され、連休がずれれば教育現場への影響も考えられる。
フランスではA〜Cの3地区に分け、各2週間ある学校の春休みと冬休みをずらし、「子どもにあわせて親も休暇をとることが多く、道路や観光地の混雑防止策でもあるようだ」(在日フランス大使館)という。観光庁は、まずは小中学校の夏休みを地域ごとにずらす施策を検討し、自治体の教育委員会とモデル地区での試行を考えている。(山本桐栄)