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【主張】小沢代表辞任 判断遅すぎ、信頼を失う 後継選びで基本政策を競え

2009.5.12 03:37
このニュースのトピックス主張

 民主党の小沢一郎代表が、西松建設の違法献金事件をめぐる混乱回避を理由に、代表を辞任すると表明した。

 そもそも小沢氏と一心同体である公設第1秘書が、政治資金規正法上の違法行為を犯したとして逮捕・起訴された事件である。当初から小沢氏の政治的かつ道義的な責任は明確であり、代表辞任は遅すぎたと言わざるを得ない。

 秘書の起訴後、小沢氏は1カ月以上、代表に居座り続け、巨額な政治資金の使途などについて説明しようとはしなかった。きわめて遺憾であり国民の信を失っていることを理解していない。離党もしくは議員を辞職するような事態であることを認識すべきである。

 小沢氏の続投を容認し、秘書逮捕から2カ月余にわたり、十分な自浄能力を発揮できなかった党執行部の責任も重大だ。

 新代表選びでは、信頼回復の方途を模索すると同時に、基本政策を含めた論争を徹底すべきだ。

 小沢氏は会見で「今日でも政権交代は可能だが、さらに万全にするため」と辞任の理由を述べ、続投への批判が党内外にあり、自分自身が挙党態勢の支障になっている点は認めた。

 ≪説明責任は果たされず≫

 同時に「衆院選を通じた政権交代の実現が国民生活重視の政治への転換を可能にする」と述べ、新体制を支えていくという名目で引き続き衆院選対策の実務に取り組む強い意欲も隠さなかった。

 これでは、辞任要求が拡大する前に自発的に辞任し、影響力を残したということではないのか。小沢氏は「政治資金について、一点のやましいところもない」と強調したが、事件について反省し、説明責任を果たそうとはしなかった。辞任するだけで、違法献金事件の批判や疑念を一気に払拭(ふっしょく)できると思っているのだろうか。

 政治とカネをめぐる国民の政治不信を増幅させたのに、こうした辞め方が党の信頼回復に結び付くとは思えない。民主党は自民党よりもクリーンな政党だというイメージを、大きく壊した事件であることを忘れてはなるまい。

 事件の説明責任が消滅するわけではない。有権者は新体制がどれだけ自浄能力を発揮できるか厳しい視線を向けるだろう。

 この5年間を見ると、平成16年に菅直人氏が年金未納問題、17年には岡田克也氏が衆院選敗北、18年には前原誠司氏が偽メール問題で、それぞれ任期途中で代表を辞任した。

 小沢氏自身、16年にいったん党代表に内定した後、年金未加入問題で就任を辞退したことがあるほか、19年には自民党との大連立構想をめぐり混乱を招いたことから辞意を表明し、その後撤回した経緯がある。

 ≪個人依存から脱却を≫

 小沢氏が19年の参院選を勝利に導き、政権交代の可能性を高めた力量、手腕が大きいことは多くの人が認めるところだろう。しかし、そのために「政局至上主義」と呼ばれる国会戦術を押し通し、社民党などとの野党共闘を優先した。外交・安全保障政策がゆがめられていないか。異論を唱える動きが広がりを持たない党の現状を直視する必要がある。

 今回の事件でも、小沢氏個人の力量に依存しすぎていたために、有権者の多数が辞任を求めていても、党内で党首の責任をほとんど追及しなかった。その背景にも、党内での政策論争の不足が指摘されよう。

 今国会で、民主党はソマリア沖での海上自衛隊を主体とした海賊対策に強い疑問を示し、海賊対処法案の早期成立に応じようとしていない。

 在沖縄米海兵隊のグアム移転をめぐる日米両国の協定締結承認案には、反対の方針をとっている。日米同盟や国際協調行動にかかわる具体的な政策対応で、民主党の政権担当能力を疑わせる事例が進行している。

 新代表選びに手を挙げる候補者は、こうした基本政策に関する論争を避けてはなるまい。

 内閣支持率の急落などで、一時は政権の危機も取りざたされていた与党は、小沢氏の秘書の逮捕起訴という「敵失」によって息を吹き返したにすぎない。

 民主党の新体制にどう対応するのか。自民党への不信は払拭されていない。

 違法献金事件では、複数の自民党議員への資金提供をめぐる疑惑も指摘された。政治資金の透明化へ与党の努力が必要なことに変わりはない。

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