2009年5月11日5時1分
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曲げ伸ばしのできる有機ELディスプレーをつくることに、東京大と大日本印刷などの研究チームが世界で初めて成功した。11日付の英科学誌ネイチャー・マテリアルズ(電子版)に発表する。研究が進めば、テレビの画面を将来は折り畳んで持ち運ぶこともできると期待がかかる。
有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)は液晶をしのぐ美しい映像が特徴で、最新のテレビや携帯電話に使われ始めている。
研究チームが開発したのは、電気を通すカーボンナノチューブとゴムを均一に混ぜる技術。この技術でつくった新素材を配線に使った。5ミリ四方の画素が縦横16個並んだ256画素のディスプレーを30〜50%引き伸ばしたり、もとに戻したりしても正常に動くことを確認した。
試作品のため、まだ緑色にしか発光することができないが、ふつうに使われる銅配線と比べ、画素の明るさは1割程度しか減少しなかった。研究チームの東京大の染谷隆夫教授は「高解像度、フルカラーのディスプレーの製作を進めたい。伸ばすだけでなく、折り畳むことも可能だ。地球儀形のディスプレーに世界の気象情報を映したり、液晶が卵形のユニークな形の携帯電話をデザインしたりもできる」と話す。(田中康晴)