「挙党一致」。東京・永田町の党本部で11日記者会見した民主党の小沢一郎代表(66)は辞任を決断した理由を繰り返した。政治資金規正法違反事件を巡る公設第1秘書起訴を受けた「涙の続投会見」から48日。この日は、こわもてのイメージも復活。事件の政治的責任に自ら言及することはなく、封印していたマスコミ批判も展開するなど、強気に徹した。【篠原成行、鈴木一生】
微妙な笑顔を浮かべ会見場に現れた小沢代表は、詰めかけた約300人の報道陣に「(私の考えを)メモにしてきました」と述べ、「挙党一致をより強固にするために」と題したメモを約5分間にわたって読み上げた。
A4用紙1枚にしたためた文面には「挙党一致」「挙党態勢」の言葉が6回も使われ、その後の質疑応答でも「代表職を自ら辞することで党内がまとまり、政権交代が実現する」などと、政権奪取のための辞任であることを強調した。
一方、メモでは秘書が起訴された自らの責任についてはまったく触れなかった。「(事件の責任を取って)離党や議員辞職はしないのか」との質問を受けると、「なぜ離党や辞職をしなければいけないのか。私に一点のやましいところはなく、政治的な責任を取って代表を辞めるわけではない」と気色ばんだ。
この日は神妙な受け答えに終始した続投会見とは一転。時に厳しい口調になる半面、笑顔を織り交ぜる余裕を見せた。また、正面切ってマスコミを批判する「小沢節」もよみがえり、「連日のマスコミの報道で党内が不安定になった」「懇切丁寧な(事件の)報道にもかかわらず、民主党支持率は自民党と拮抗(きっこう)している」などと皮肉を述べる場面も。
最後に「小沢首相を求める世論に応えられなかった無念(の思い)はあるか」と聞かれると、「何になる、ならないは問題ではない。政権交代が果たされれば本懐」と答え、「はい、ありがとう」と続投会見の半分の約20分間で打ち切った。
毎日新聞 2009年5月11日 20時53分(最終更新 5月11日 20時58分)