小沢一郎・民主党代表は2009年5月11日17時から民主党本部で辞任会見をした。小沢代表は、西松建設の違法献金事件や検察「陰謀説」に関しては一言も語らず、記者からも事件の核心に触れる質問はまったく出なかった。一方で自民党・麻生太郎首相や東国原英夫・宮崎県知事が事件の説明責任を果たしていない、などと痛烈に批判しているのとは対照的だった。
献金事件とは関係のない質問ばかり
記者の質問では、民主党の次期代表や選挙対策について、あるいは「小沢総理待望論」に応えられなかった思いなど、献金事件とは関係のない、あまりに「ゆるい質問」が相次いだ。唯一、日本テレビの記者から、
「党内、有権者からは、辞任自体が遅すぎ、党にダメージを与えたとの声もある」
「政権交代に貢献するために、離党、議員辞職も考えられるのか」
という質問が飛んだ。
代表は「なぜ離党・議員辞職しなければならないんですか」と語気を強め、「政治資金の問題について1点のやましいところもない」「法律に従いきちんと処理し報告している」と従来の見解を繰り返した。また、「みなさん方の『懇切丁寧な報道ぶり』にも関わらず、20%以上の支持率をもって、自民党と拮抗している」と一連の事件報道を皮肉った。
「多額の献金を知らない、というのは『欺まん』だ」
一方、この会見を受けて自民党・麻生太郎首相と、東国原英夫・宮崎県知事は以下のように語っている。
麻生首相は首相官邸での会見で、「冒頭発言しか聞いていない」ことを強調しながら、
「なぜ辞めるのか、何について責任を取るのか、なぜ今なのかについて、国民は理解できなかったのでは。私も正直うかがってみたい」
と、会見に疑問を呈している。
また、東国原知事も小沢代表の会見を厳しく批判した。「西松建設あたりとのつながりが『あやふや』『うやむや』ですよね」とし、「あれだけの多額の献金が1つの会社から来ていたことを知らない、というのは『欺まん』だ」とバッサリ。会見の内容は「国民にとって説明責任が果たされたとは到底思えない」と指摘した。民主党に対しても「辞めて臭いものにフタをした、選挙に向けてイメージアップとか、そういったことをすると、逆イメージダウンになる気がする」と痛烈に批判している。
だんまり記者に代わって、政治家が批判している形だ。