イラクでのレイプ殺人で元米兵有罪、量刑審理へ

ケンタッキー州パデューカ（ＣＮＮ）　イラク中部マフムディヤで２００６年３月、イラク人の１４歳の少女が駐留米兵らにレイプされ、家族とともに殺害された事件で、当地の連邦地裁の陪審は先週、主犯格の元陸軍兵士スティーブン・グリーン被告に有罪の評決を下し、１１日から量刑の審理に入った。法廷文書から、逮捕当時の同被告の様子などが明らかになった。

陪審は７日、１０時間にわたる審理の末、殺人、レイプ、共謀、司法妨害など、１７の罪状すべてについて有罪評決を出した。検察は死刑を求刑している。同被告は元米兵として初めて、民間法廷で死刑を言い渡される可能性がある。

起訴状などによると、グリーン被告は同じ部隊の兵士らと民家に侵入して、少女の両親と妹を殺害。その後、集団で少女をレイプし、殺害した。事件への関与が指摘された兵士４人は軍法会議で禁固２年３カ月から１１０年の刑を言い渡され受刑中だが、同被告は事件発覚前に「人格障害」を理由に除隊となったため、通常の司法手続きで裁判にかけられていた。

法廷文書によれば、グリーン被告はブッシュ前大統領の故郷であるテキサス州ミッドランド出身。高校中退後の０５年に入隊し、イラクへ送り込まれた。

０６年６月、除隊後に身を寄せていたノースカロライナ州の祖母宅を米連邦捜査局（ＦＢＩ）の捜査員が訪れた。捜査員が、逮捕の理由を祖母に知らせていいかと尋ねたところ、被告は最初同意したが、その後「祖母にショックを与えたくない」と断った。

拘置所へ向かう車の中で、被告は「あなたたちが来るのは分かっていた」と話し始めた。捜査員からはなにも質問しなかったが、「あちら（イラク）では仲間がみんな殺されていった。ブッシュ（前大統領）とチェイニー（前副大統領）が逮捕されるべきだ」「軍に入ったのは、人生最悪の決断だった」などと話していたという。