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【社会】

突風、初のピンポイント探知 線路付近 気象研など開発

2009年5月11日 夕刊

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 列車脱線を防ぐため、線路付近に発生する恐れがある突風を事前に探知するシステムを気象庁気象研究所(茨城県つくば市)などがつくり、鉄道総合技術研究所と共同で特許を出願した。

 突風が原因とされ、五人が死亡した二〇〇五年のJR羽越線脱線転覆事故を受け開発に着手。実用化できれば、初めて突風をピンポイントでとらえることが可能になるという。気象研の楠研一主任研究官は「突風による事故の再発防止につながる。システムの信頼性を高めたい」としている。

 小型の気象レーダーが、地上付近に発生した渦を伴った突風を観測し、発生位置や強さを解析して進行方向を予測。遭遇する恐れがある線路上の区域を算出し「危険指数」で知らせる仕組み。鉄道だけでなく、バスなどの交通機関にも提供できる。

 探知の範囲はレーダーの性能や数に左右されるが、現在実験に使っているレーダーでは半径約二十キロで突風の観測が可能。ほぼリアルタイムで危険情報を伝達することができるとしている。

 気象庁は〇八年三月から、全国に設置したドップラーレーダーにより竜巻注意情報を発表している。だが竜巻そのものをとらえることは困難で、注意情報はおおむね都道府県単位で広域予測にとどまっている。

 気象研はJR東日本や京都大などと開発に取り組んできた。事故現場の山形県庄内地方で気象データを集め、四月に特許出願した。

 JR東日本は現在、羽越線や白新線などで突風対策の運転規制をしており、十一−三月の間、一定規模以上の積乱雲がある場合に運行を止めている。

 

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