独自の交通バリアフリー調査を続けている倉富隆則さん。調査に欠かせないメジャーを車いすに結び付け、JRやバス、空港を回る
脳性まひで手足に障害がある別府市の倉富隆則さん(58)は、九州でエレベーター(EV)を備えているJRの七十三駅を訪れてバリアフリー調査をした。この結果を仲間の協力を得て開設したホームページ(HP)「JR九州―駅―EV設置マップ」で紹介を始めた。四年半かけ、車いすで列車を乗り継ぎ、こつこつと調べた集大成だ。
倉富さんは「誰もが利用しやすい駅について県や市、JRに提言することができれば」と独自で調査している。その中で、これまでにエレベーターがある九州のJR七十七駅のうち七十三駅を訪れた。
これを知ったIT(情報技術)関連のベンチャー企業が「障害者に役立つ情報なので広く紹介したら」と提案。障害者用トイレやおむつ交換スペースがあるトイレ情報を網羅したHP「多目的トイレマップ」を作った実績を生かし、無償でHPを開設した。
HPでは、九州の全JR線から、エレベーターを設置している駅を調べることができる。例えば亀川駅をクリックすると、(1)エレベーターの形状はスルー型(前後に開閉扉がある)で、十一人乗り(2)二、三番ホームはかさ上げされており、ホームと列車の段差はない(3)駅前から市内循環のリフト付きバスが運行している―などの情報が分かる。
トイレマップのHPとリンクしていて、エレベーターがある駅周辺のトイレ事情も調べることができる。
JR九州大分支社によると、県内では大分、別府の両駅のほか、周囲に障害者福祉施設や病院があり、障害者の利用が多い亀川駅(別府市)にエレベーターがある。中津駅には階段の角度に合わせた斜行型のエレベーターが設置されている。
倉富さんは現在、JR大神駅(日出町)のバリアフリー化を提案しようと独自に調査している。同駅周辺には障害者施設や特別支援学校がある。しかし、駅舎とホームの間には階段があって、「車いすの人は利用できない」という。
倉富さんは「誰もが使いやすいユニバーサルデザインが普及すれば、障害者だけでなくみんなが喜ぶ。住みやすい地域づくりに向けて調査を続けたい」と張り切っている。EV設置マップはhttp://eki.m47.jp/多目的トイレマップはhttp://wc.m47.jp/
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