| 1E01 | ○中山繁樹1、藤下まり子1,2、大山莞爾3 (1農業生物研、2生研機構、3京都大院・生命科学) |
| ゼニゴケ染色体におけるリボソームDNA遺伝子座の雌雄間差異 | |
| 雌雄異株植物ゼニゴケ(Marchantia polymorpha; ♀:n=8+X、♂:n=8+Y)染色体上における17S リボソームRNA遺伝子(rDNA)と5S rDNAの遺伝子座を蛍光in situハイブリッド法により明らかにした。17S rDNAの遺伝子座は雌雄間で異なり、雌で10個、雄で9個であった。この雌雄間の違いは17S rDNAの遺伝子座がX染色体に存在するが、Y染色体には存在しなかったことによる。また、5S rDNAもX染色体上に遺伝子座が存在するが、Y染色体上には存在しなかった。性染色体上におけるこのようなrDNA遺伝子座の差異はゼニゴケの性染色体分化の結果であると考えられる。 | |
| 1E02 | ○村上庸子1、若生俊行2、福井希一1(1阪大院・工・応生、2生物研・生体高分子) |
| オオムギにおけるヒストンH4アセチル化領域の三次元動態解析 | |
| ヒストンH4のN末端領域にあるリジン残基のアセチル化は、クロマチンの構造変化および転写活性に関与していると考えられている。特にK5、8、12、16がアセチル化を受けることが知られており、現在までに、細胞周期に応じたK5、K16のアセチル化 / 脱アセチル化の動態を報告してきた。 今回は、間接蛍光抗体法とデコンボリューション法により、オオムギを用いてK8とK12についてのアセチル化 / 脱アセチル化の動態を三次元的に解析した。その結果、K8は分裂期を通じてセントロメア側が強くアセチル化されていたが、後期のごく一時期のみはテロメア側に強いアセチル化が観察された。また、K12は前中期から後期にかけて染色体の核小体形成部位(Nucleolar organizing regions, NORs)で強くアセチル化されていることがわかった。細胞周期を通じたヒストンH4のアセチル化領域の動態について、クロマチン構造が大きく変化する細胞分裂期を中心として報告する。 | |
| 1E03 | ○早崎美華子1、村田稔1,2(1科技団・CREST、2岡山大・資生研) |
| シロイヌナズナにおけるミニ染色体セントロメア領域の解析 | |
| シロイヌナズナTr4S系統には、非常に小型の染色体が存在する。このミニ染色体4Sは、第4染色体の短腕から、セントロメア内の切断により生じたと考えられている。短縮化したセントロメアは、分裂時の安定性から、正常であると考えられるが、詳細な構造についてはまだ十分に調べられていない。今回我々は、DNAファイバー、パルスフィールドゲル電気泳動法等から、このミニ染色体のセントロメア構造を解析したので報告する。 | |
| 1E04 | ○小倉豊1,3、T. Schwarzacher2,3、J. S. Heslop-Harrison2,3、村田稔1,3(1岡山大・資生研、2Leicester大、3CREST・JST) |
| シロイヌナズナのセントロメア領域の反復配列に特異的に結合する因子の解析 | |
| セントロメアは染色体の正確な分配に必要な領域である。シロイヌナズナのすべての染色体のセントロメア領域には約180塩基対を基本単位とする反復配列が存在し、数百キロ塩基対のクラスターを形成している。我々はこの反復配列の機能についての知見を得るため、この反復配列に特異的に結合する因子の探索を行っている。 今回はこの反復配列の各基本単位間で高度に保存されている領域を含むDNA断片とシロイヌナズナの細胞抽出液を用いたゲルシフトアッセイの結果を報告する。 | |
| 1E05 | ○内田和歌奈1、杉山立志2、松永幸大1、河野重行1,2(1東京大・院・新領域・先端生命、2理・生物科学) |
| 雌雄異株植物ヒロハノマンテマのゲノムに局在する染色体内在性テロメア様反復配列 | |
| ナデシコ科の雌雄異株植物ヒロハノマンテマ(Silene latifolia) はXY型の巨大な性染色体を持つ。性染色体の起源を探るために、染色体に内在するテロメア配列を解析した。テロメア配列(CCCTAAA)5をプローブに用いて、ゲノミックライブラリー解析し、染色体内部に存在する80〜200bpのテロメア様反復配列の存在を明らかにした。テロメア様反復配列の周辺領域には,高度に保存された共通のモチーフ(A〜J)が存在していた。各モチーフをプローブにしたゲノミックサザン解析では雌雄で差は見出されなかったが、FISH法を用いてテロメア様反復配列の染色体局在を解析している。 | |
| 1E06 | ○持田恵一、辻本壽(横浜市大・木原生研) |
| コンフォーカルイメージングによるコムギ×トウモロコシ雑種初期胚における染色体脱落機構の解明 | |
| コムギにトウモロコシの花粉を交雑すると、トウモロコシの精細胞はコムギの卵と受精し雑種胚を形成する。しかし、受精後の胚発生のごく初期にトウモロコシの染色体が選択的に脱落し、コムギの半数体を生じる。このような、初期胚発生における染色体脱落をともなう交雑不和合性の機構を明らかにするために、トウモロコシ花粉を交雑後の雑種胚を摘出し、胚の形態を崩さないで異種染色体の検出が可能なwhole-mount GISH法および、間接蛍光抗体法による解析を行った。whole-mount GISH法による三次元的な観察から、トウモロコシ染色体が受精卵の第一分裂で、コムギ染色体と同一の赤道面に配列すること、その分裂後期における極への分配が、コムギ染色体のそれに比べて遅れていることを見いだした。さらに、同様の摘出胚に対し、抗チューブリン抗体を用いた間接蛍光抗体法を行い紡錘糸の配向を観察した。 | |
| 1E07 | ○辻本 壽1、岸井正浩1、山田豊美1、阿部知子2(1横浜市大・木原生研、2理研) |
| 重粒子線によるパンコムギ染色体の切断:分子細胞遺伝学的調査 | |
| 重粒子線が植物染色体に及ぼす効果を調べるために、パンコムギの乾燥種子に核子あたり135MeVに加速したNおよびNeイオン線を、それぞれ50〜200、25〜100Gy照射した。種子を発芽させ、根端分裂細胞で染色体切断数と個体の生存率を調査した。その結果、1) 線量と共に染色体切断数は増加し、Neイオン線の効果はNイオン線の約2倍の染色体を誘発すること、2) LD50の線量は、NおよびNeで、それぞれ150、90Gyであること、3) その時の切断数は、両イオン線とも、細胞当たり20カ所であることが明らかになった。しかし、この方法による検出限界のため実際の切断数は、より多いと推察される。そこで、染色体添加系統および複二倍体系統に重粒子線を照射し、その染色体にゲノミックin situ hybridizationを行い異種染色体間での転座数を調査し、それをもとに異なる染色体間での転座数を求めた。 | |
| 1E08 | ○大段隆史、村田稔(岡山大・資生研) |
| マイクロダイセクションによるコムギ染色体由来DNA断片のクローニング | |
| 我々はコムギ染色体由来のDNAライブラリー作製を目的として、マイクロダイセクション法による染色体単離とそのDNAの増幅を試みている。今回はテロソーミック1BS染色体1〜4本からDNAを増幅した。その結果、数百bp〜1kbの増幅が認められたので、クローン化したDNAについて、データベースによるホモロジー検索を行ったところ、コムギ等のゲノム配列、レトロトランスポゾン様配列等に相同性が認められた。 | |
| 1E09 | ○岸本直己1、矢崎潤史1、藤井文子1、真保佳納子2、安井 秀3、吉村 淳3、太田智弥1、島谷善平2、長田夕子2、橋本晶子2、菊池尚志1(1生物研、2STAFF研、3九大・農) |
| トリソミー(三染色体性)による遺伝子発現への影響:マイクロアレイ法を用いた解析 | |
| 染色体異常症候群の多くは先天的に異常な表現型を示す。中でも、ヒトにおいては、ダウン症候群をはじめ、性染色体や常染色体のトリソミーによる各種の表現型を示す症候群が知られている。また、植物のトリソミーによっても、過剰になっている染色体に関して、異なる染色体ごとに特異的な表現型の異常が観察されている。しかし、トリソミー、即ち、一染色体の過剰によって、ゲノム全体の遺伝子発現状態がどの様に影響を受けるのか、については、殆ど明らかになっていない。演者らは、マイクロアレイ法を用いて、植物種(イネ)を対象に、網羅的な遺伝子発現モニタリングを行っており、各種イネ系統の体系的なマイクロアレイ解析にも着手している(四倍体系統の解析;第72回大会)。本講演では、イネのプライマリートリソミックシリーズから数系統を供試して得られた解析結果を報告する。 | |
| 1E10 | ○村口 元1、鎌田 堯2、柳 園江1(1秋田県立大・生物資源、2岡山大・理) |
| RAPDマーカー他を用いたネナガノヒトヨタケの遺伝子マッピング | |
| ネナガノヒトヨタケの一核性子実体形成株#326と野生型一核菌糸株の交雑を行い、得られた子孫40株をマッピング集団とし、RAPDおよびRFLPマーカーの連鎖地図を作成した。#326株にUV照射して誘発した子実体形成過程の劣性突然変異(pin1とeln6)について、それらの表現型と連鎖するRAPDマーカーを検索し、pin1とeln6座を連鎖地図上に位置付けた。現在、対応染色体の分離とそれら野生型遺伝子のクローニングを目指している。 | |
| 1E11 | ○松本耕平(神戸大・自然科学)、Jae-Min Lee(神戸大・農)、畠山正統(独法生物研)、大石陸生(神戸大・理) |
| AFLP マーカーを用いたカブラハバチAthalia rosae の遺伝子連鎖解析 | |
| 膜翅目昆虫のカブラハバチAthalia rosae は雄産性単為発生を行なう。成熟未受精卵は蒸留水にひたすことで人為的に付活することができ、また昆虫で唯一体外人工授精ができる、などのユニークな特長を持つために発生初期の遺伝学的メカニズムを解明する上で有利なモデル生物となり得る。しかし、未だ遺伝学的バックグラウンドに乏しい面がある。そこで AFLP 法 (Amplified Fragment Length Polymorphism) を用いて、遺伝子連鎖地図の作製を試みている。 カブラハバチには現在のところ 3 つの可視突然変異がある。yellow fat body (yfb), cream eye color (cec), short wing (sw) である。この 3 つの突然変異に関してヘテロの雌親 (yfb/+; cec/+; sw/+) 1 個体とそれから生じた 47 個体の半数体雄から構成されるファミリーを用いて AFLP 解析を行った。 現在までに遺伝子連鎖解析を十分行える数の AFLP マーカー を得たので、3 つの可視突然変異マーカー と併せて解析し、遺伝子連鎖地図を作製した。 | |
| 1E12 | ○渋澤麻実1、山田和彦2、梅原千鶴子2、松田洋一1, 2, 3(1北大院・地球環境、2北大先端研・動物染色体研、北大・理3) |
| 分子細胞遺伝学的手法を用いたキジ科4種における染色体構造変化に関する比較研究 | |
| 1980年代以降、数多くの鳥類種において、G分染法による比較解析から染色体の相同性や構造変化について論議されてきた。今回我々は、キジ科4種(ニワトリ・ニホンウズラ・ホロホロチョウ・ヒメウズラ)について、ニワトリ染色体ペインティングプローブとニワトリコスミドクローンを用いてFISH解析を行い、比較染色体地図を作製することによってこれら4種間の染色体相同性と構造変化について調べた。その結果、次の3タイプの染色体構造変化、1)動原体を挟んだ逆位、2)染色体間の動原体融合、3)動原体の解離、が観察された。これらの結果は、G分染パターンの比較によって報告された結果を支持するとともに、4種間における高い染色体相同性とマイクロ染色体を含んだ新たな染色体構造変化を検出することができた。 | |
| 1E13 | ○松原和純1、梅原千鶴子2,3、黒岩麻里1,4、土屋公幸5、松田洋一1,2,3(1北大院・地球環境、2北大・先端研・動物染色体研、3北大・理、4名大院・生命農学、5宮崎医大・動物実験施設) |
| Zoo-FISH法を用いたApodemus 属の核型進化の解析 | |
| Apodemus 属はユーラシア大陸の温帯域の森林、野原に生息する小型齧歯目動物種であり、20種以上が存在すると言われている。多くのApodemus 属種の染色体数は2n = 46または48であり、fundamental numberには48から56の変異が見られる。Serizawa et al. (2000) は、9種のApodemus 属種におけるcytochrome bとIRBP遺伝子を用いた分子系統解析の結果より、Apodemus 属を4つのグループに分けた。本研究は、この結果に基づきA. argenteus、gurkha、peninsulae、sylvaticus の4種を対象として、Apodemus 属の核型進化を解析することを目的とした。マウスペインティングプローブを用いてZoo-FISHを行い、ハイブリダイゼーションパターンを比較することによってApodemus 属種間での染色体相同領域を同定し、核型進化の過程を推定した。さらに、マウスやラットなどの他の齧歯類とApodemus 属における核型進化の過程についても考察した。 | |
| 1E14 | ○阿部広明、黄色俊一(農工大・農)、大林富美(東大・農)、三田和英(農生研)小副川和豊(オークランド小児病院研究所)、嶋田 透(東大・農) |
| BACを利用したカイコW染色体の塩基配列解析 | |
| カイコの性染色体型は雌ではZW、雄ではZZであり、W染色体が存在すれば必ず雌になる。我々はこれまでにW染色体上に3種類のRAPDマーカーを発見している。今回はW染色体をさらに広範囲に解析するために、平均170 kbのインサートを含むBACライブラリー中より、1つのRAPDマーカーの配列を含むクローンを得て解析を行った。その結果、W染色体には、レトロトランスポゾンをはじめとする転移因子が極めて複雑な「入れ子」状態で蓄積されていた。 | |
| 1E15 | ○横峯孝昭1、深川竜郎2、佐々木裕之1(1国立遺伝研・人類遺伝/総研大、2国立遺伝研・進化遺伝) |
| 鳥類のde novo DNAメチル化酵素の同定 | |
| ゲノムDNAのメチル化は脊椎動物の様々な生物現象に重要な役割をはたしている。哺乳類では、3つのDNAメチル化酵素が知られており、維持メチル化酵素はDNMT1、de novoメチル化酵素はDNMT3A、DNMT3Bと呼ばれている。これらのDNAメチル化酵素は胚発生において重要な役割を果たすが、どのメチル化酵素が染色体やヘテロクロマチンの安定性、転写、外来ウイルスの不活性化に影響しているか等、個々の対応はついていない。ニワトリではDT40細胞を用いることにより遺伝子のノックアウトが容易であるという利点があり、細胞内でのメチル化酵素の機能・影響を調べることが容易であると思われる。今までにニワトリでは維持メチル化酵素DNMT1は単離されたがde novoメチル化酵素は単離されていない。今回、我々はニワトリでDNMT3A、DNMT3Bを単離した。ニワトリDNMT3の発現分布、ゲノムの構造、DNMT3Bはメチル化活性を持たない可能性がありメチル化酵素がそれ以外の働きを持つことなどについて得られた知見を報告する。 | |
| 1E16 | ○吉田郁也 (北大・先端研・遺伝子) |
| 不活性X染色体のヘテロクロマチン化に関わる因子同定の試み | |
| 胚発生初期に不活性化された哺乳類のX染色体は、細胞遺伝学的なレベルから見ると典型的なヘテロクロマチンとして振る舞うことが知られている。しかし、その構築の仕組みや構成因子についてはほとんど明らかになっていない。不活性X染色体のヘテロクロマチン化に関わる因子の同定を目指して、不活性X染色体を持つ細胞と持たない細胞から単離した染色体に由来する非ヒストンタンパク質の比較を試みたので報告する。 | |
| 1E17 | ○佐渡 敬、佐々木裕之、*En Li (遺伝研・人類、*MGH) |
| Xist遺伝子座に見出されたアンチセンスRNAの機能 | |
| X染色体不活性化に必須であるXist遺伝子は、不活性化を司ると考えられる不活性化センター(Xic)にマップされる遺伝子で、不活性X染色体特異的に発現される。しかし、タンパク質をコードしておらず、その転写産物であるRNAは、不活性X染色体全域にシスに結合している。我々は、Xist遺伝子座に、アンチセンスRNA (Tsix)が存在することを見出し、不活性化機構におけるその役割を解析している。胚盤胞期に初めて認められるTsixの発現は母方アレルに限られ、その後、胚体外組織ではそのインプリントが維持されるのに対し、胚体組織では消去されるとみられる。Tsix欠損マウスの解析の結果、変異アレルを母親から受け継いだ場合にのみ、胚は雌雄共に胚体外組織でXistを異所的に発現し発生初期に死亡することが分かった。これらは、TsixがXistの発現をシスに調節する因子で、胚体外組織におけるインプリントされたX染色体不活性化に重要な役割を果たしていることを示している。Tsixは、Xistと共にXicの構成成分として重要な機能を担っていると考えられる。 | |
| 1E18 | ○笠井文生、Malcolm A. Ferguson-Smith(Department of Clinical Veterinary Medicine, University of Cambridge, UK) |
| 介在的テロメア配列のマッピング | |
| 染色体の内部に存在する介在的テロメア配列は、染色体末端を伴う染色体再編成の痕跡であると考えられる。従って、介在的テロメア配列を位置づけることは染色体融合部位を特定することにもつながるものと思われる。本研究では、ヒトにおける介在的テロメア配列を従来に比べ効率よく検出させる新たなプローブを作製した。そして、FISH法によりヒトにおいて介在的テロメア配列を含む部位を特定し、他の哺乳動物との比較を行った。 | |
| 1E19 | ○斎藤(小原)深美子1、福田陽司1、伊藤昌弘2、Kishan Lal Agarwala3、山川和弘3、井本逸勢1、松尾雅文4、稲澤譲治1(1東京医歯大・難研・分子細胞遺伝、2都立墨東病院・小児、3理研・脳科学総合研究セ、4神戸大・医学研究国際セ) |
| 逆位X染色体切断点を指標にしたX連鎖性精神遅滞関連遺伝子の単離 | |
| X連鎖性精神遅滞 (XLMR) は166種類以上OMIMに登録されているが、原因遺伝子が未同定のものは多い。最近我々は、デュシャンヌ型筋ジストロフィー症 (DMD)、重度の精神遅滞、先天性眼振およびアテトーゼ運動を合併し、X染色体の腕間逆位:inv(X)(p21.1q22.2) を有する男児症例に関して、ポジショナルクローニング法により染色体切断領域に存在する遺伝子の同定を行った。その結果、Xp21切断点にはDMD遺伝子、さらにXq22切断点にはG蛋白をコードする遺伝子 (A) が存在し、その5末側上流のプロモーター領域が染色体逆位により破壊されていることが明らかになった。このことから遺伝子Aは、患者の症状であるX連鎖性精神遅滞原因遺伝子の候補と考える。 | |
| 1E20 | ○水野博道、岡本郁弘、高木信夫 (北大・院・地球環境) |
| マウス初期発生における11番染色体の遺伝子量効果 | |
| 哺乳類の胚発生において、X染色体数の増加はさほど深刻な影響を及ぼさない。これは、X染色体不活性化の機構により、活性を持ったX染色体が1本に限定されるためである。しかし、不活性化異常によりX連鎖遺伝子量が正常の倍となった場合、著しい発生異常が起こることがマウスで示されている。一方、常染色体連鎖の遺伝子量が正常の2倍; すなわちTetrasomyに関しては、ほとんど研究がされていない。本研究ではマウス11番染色体のTetrasomy胚を作出し、胚発生におけるその影響を組織学的に解析した。その結果、発生異常は2本の活性X染色体を持つ胚で見られるものに匹敵するものであった。このことは,活性X染色体は常染色体2本分の活性を持つということを、間接的に示唆する。 | |
| 1E21 | ○藤谷洋平(慶大)、守真太郎(北里大)、小林一三(東大) |
| 遺伝的干渉に対する反応拡散モデル | |
| 減数分裂時の染色体に生じる組換え点同士が干渉することは良く知られている。我々は、たくさんの中間体が染色体上を一次元ランダムウオークして、お互いにつぶしあい、生き残った中間体が安定な組換え点になるというモデルをたてて、シミュレーションを行なった。このモデルの持つ二つのパラメーターの値の広い範囲にわたって、結果が実験とあうことがわかった。このことは、違う種でえられた実験結果に良く似た点があることを説明する。 | |
| 1E22 | ○深川竜郎、池村淑道 (遺伝研・進化遺伝、総研大) |
| 染色体工学的手法を用いたセントロメアの機能解析 | |
| セントロメアは染色体分配に本質的な役割を行うDNA-タンパク質の複合体である。高等脊椎動物のセントロメアの機能を実現している構造の実体については、未知に残された課題が多くある。我々はニワトリB細胞由来のDT40細胞を用いて各種セントロメアタンパク質の機能解析を行っている。これまで、CENP-C、CENP-H、ZW10、Mis6の条件的ノックアウト細胞を樹立しその機能を明らかにしてきた。本講演では特に、新規セントロメアタンパク質CENP-Hについて報告する。野生型CENP-HをCENP-H-GFPに置き換えたDT40細胞を樹立しその局在を詳細に解析した結果、CENP-Hは細胞周期を通じてセントロメアに局在しており、CENP-A、CENP-Cと完全に共局在することがわかった。さらに、ノックアウト細胞の解析から、セントロメア前駆体の形成において、CENP-Cのセントロメアの局在にはCENP-Hが必須であることが明らかになった。 | |
| 1E23 | 渡辺良久1、藤山秋佐夫1,2、市場勇太1、榊 佳之2、○池村淑道1(1遺伝研、2理研) |
| ヒト11・21番染色体長腕の複製時期の推定:複製転換領域に集中する病因遺伝子類 | |
| 染色バンドに代表されるようなゲノムの大規模構造を分子レベルで解明することは,ゲノムの機能解析に重要な知見を与える.S期内で前半と後半に区分化される複製時期は,染色体の機能構造を知るための重要なパラメーターである.ヒト11番と21番染色体の長腕を対象に,複製時期地図をゲノム配列レベルで作成した.S期前半と後半の複製領域がRとGバンド領域に対応することが判明し,前半から後半に転換する領域を塩基配列レベルで特定できた.S期の早い時期に複製する領域ほど遺伝子密度が高いことも明らかになった.S期前半から後半への複製時期の転換部位には病因遺伝子,特に癌や脳神経疾患の遺伝子が集中して存在するとの知見を得た. | |
| 1E24 | ○井上麻紀、鈴木智広、桝屋啓志、土岐秀明、澁谷 徹*、美野輪治、若菜茂晴、権藤洋一、野田哲生、城石俊彦(理研ゲノム科学総合研究センター、*食品薬品安全センター秦野研究所) |
| 大規模マウスミュータジェネシス:ENU投与量と変異体作製効率 | |
| ENUは自然発症突然変異の約1000倍もの高頻度で点突然変異を誘発する化学変異原であり,大規模なマウス突然変異体開発に有効である.ENU被投与雄個体は一時不妊となり,回復後,精子に誘発された多数の点突然変異は次世代に受け継がれる.今回効率よく変異個体を得られる投与量を決定することを目的とし,各投与量における次世代個体の生産効率,変異誘発率を検討した.また,C57BL/6Jおよび,日本産野生種由来のMSM系統を用い,両系統間のENUに対する感受性の差についても検討した.その結果,MSMは,C57BL/6Jと比較してENUの妊性への影響を強く受ける一方,発がん作用に対する感受性は低いことが推察された.また,C57BL/6Jを用いた突然変異体開発において有効なENUの投与量を決定することができたので報告する. | |
| 1E25 | ○美野輪 修1、茂木浩未1、土岐秀明1、足立隆司1、大瀧 慈2、佐藤健一2、井上麻紀1、桝屋啓志1、鈴木智広1、小林喜美男1、若菜茂晴1、権藤洋一1、城石俊彦1、野田哲生1(1理研ゲノム科学総合研究センター、2広島大学原医研) |
| 大規模マウスミュータジェネシス:血液学的検査法による変異体の検索 | |
| ヒト病態モデルになり得るマウス突然変異体の効率的単離を目的として、血液学的検査法によるマウス突然変異体探索システムの確立を試みた。ENU投与により変異を導入したマウスは、変異発生部位に塩基配列特異性がないと考えられ、この事は、大規模な体系的変異体探索を通じて多数の新規変異体マウスを単離するのに適した条件である。ヒト用血液検査機器である生化学検査装置BM2250、及び血液像検査装置ADVIA120を導入し、マウス検体測定のための最適化を行った。これらの機器はマウス変異体探索のための必要条件である高速性と試料の微量化を満たすものであった。マウスの基準値を決定するためにC57BL6/J, DBA2, DBF1の各系統について測定を行い、全検査項目について系統差を検討した。 | |
| 1E26 | ○瀬筒秀樹1、櫻庭喜行1、井上麻紀1、高橋 亮1、土岐秀明1、美野輪治1、加藤郁之進2、山下裕兄3、佐藤昭之3、若菜茂晴1、野田哲生1、城石俊彦1、権藤洋一1(1理研・ゲノム科学、2宝酒造・バイオ研、3ドラゴン・ジェノミクス) |
| 大規模マウスミュータジェネシス:標的遺伝子の劣性突然変異体作製へのアプローチ | |
| ENUを用いたマウス突然変異体作製プロジェクトは、投与後の第一世代(G1)における表現型スクリーニングに作製基盤を置く。得られる変異体は優性形質を基本とし原因遺伝子はポジショナルクローニングによって単離後、解析する。一方、ノックアウトマウスでは得られない遺伝子機能情報を、点突然変異のホモ接合体解析から得たいという必要性も高まっている。理研プロジェクトでは、すべてのG1雄の精子を凍結保存する。そこでゲノムDNAもすべてのG1雄より抽出し標的遺伝子群を直接解析することで、点突然変異箇所を同定した後、そのホモ接合体を凍結精子から得るという新しい劣性突然変異体作製を試みている。既知の特定遺伝子座テストからは、G1雄1000匹に1匹は機能変化をもたらす劣性変異が各遺伝子座に誘発されていると推定されている。 | |