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スリランカ:強まる軍事制圧論…政府、インド総選挙を注視

10日、スリランカの「タミル・イーラム解放のトラ」が支配する非戦闘地域の仮設病院に収容されたタミル人負傷者=AP
10日、スリランカの「タミル・イーラム解放のトラ」が支配する非戦闘地域の仮設病院に収容されたタミル人負傷者=AP

 【ニューデリー栗田慎一】内戦が最終局面を迎えたスリランカで、インド下院総選挙の開票がある16日前後までに反政府武装組織「タミル・イーラム解放のトラ」(LTTE)支配地域を軍事制圧すべきだとの意見が政府内で高まっている。スリランカ・タミル人と同じ民族が住むインド南部タミルナド州の地方政党が連立政権作りの鍵を握り、スリランカ政府に停戦圧力をかけることを連立参加の条件にする可能性があるためだ。

 スリランカ政府関係者は毎日新聞に対し、インドの最大与党「インド国民会議派」と最大野党「インド人民党」がともに過半数を大幅に下回るのは確実で、地方政党の支援なしでは政権を作れないとの分析を示した。このため、インドでどのような新政権が発足してもスリランカ内戦をめぐる対応は厳しくなる、との懸念が政府内に広がっているという。

 インド総選挙は13日にタミルナド州などである第5回投票が最後となるが、スリランカ情勢が選挙結果にも大きく影響しそうだ。

 同州はスリランカ・タミル人への同情心が強く、多くの有権者が今回、スリランカ問題への対応で投票先を決める「浮動票層」となっている。このため各党は、同州を天王山と位置づけ、激しい選挙戦を展開してきた。

 国民会議派を中心とする連立政権の一角、同州政府与党「ドラビダ進歩同盟」のラマドス総裁は5月上旬、「タミル人の独立を支援する」と公言。他の地方政党も、スリランカへの停戦圧力の必要性を訴えた。

 一方、会議派は91年総選挙中に当時のラジブ・ガンジー首相が同州でLTTEに暗殺されて以降、スリランカ問題への積極的な関与を避けてきたが、今回はラジブ氏の妻ソニア総裁や長男ラフル幹事長を投入し、タミル人支援の強化を約束した。スリランカへの不干渉を続けてきた人民党も初めて「スリランカ政府に和平を求める」と方針転換し、同州の地方政党との連携強化を進めている。

 ただ、インド・ジャミア大学のジャマール教授(政治)は「各党のタミル人支援の公約の大半は票集めの手段にすぎない」とみており、本気で圧力をかけるかどうかは疑問だと指摘する。

 ◇スリランカ情勢

 北東部の約4平方キロに追い詰められているLTTEは「一方的停戦」を通告したが、政府はこれを拒否するとともに、「LTTEが市民1万人以上の脱出を妨害している」と非難している。LTTEは「政府軍が市民を大量虐殺している」と訴え、国際社会に政府への停戦圧力を掛けるよう求めている。

毎日新聞 2009年5月11日 15時00分(最終更新 5月11日 15時00分)

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