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【千葉】

水際対策に限界 新型インフル国内感染4人目 『潜伏期間の患者難題』

2009年5月11日

4人目の感染者が収容された隔離病棟(手前)=芝山町で

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 成田空港にカナダから帰国し、国内四人目の新型インフルエンザ感染が十日に確認された男子高校生(16)は、三人目の感染者と同じく機内検疫では異常が分からなかった。潜伏期間の患者が検疫をすり抜ける可能性は当初から指摘され、水際対策の限界が浮き彫りになっている。

 厚生労働省などによると、男子生徒は機内検疫では異常がなかったものの、同行の生徒ら三人に感染の疑いがあったため、八日夜に停留措置になった。

 三人の感染が確認された九日、七人が体調不良を訴えて救急車で県内の三病院に搬送され、四十二人はホテルでの“隔離”状態が続いている。

 三人の感染者のうち一人は、機内検疫を終えて航空機を降りた後、国内線に乗り継ぐ前に感染の疑いが判明。厚労省の担当者は「たまたま同行者に感染の疑いが出たから分かった」と認めている。

 四人目の男子生徒も感染疑いの患者と無関係だったら、足止めされることなく入国していたとみられる。

 成田空港検疫所の職員は「潜伏期間の患者が一番の難題」と指摘。ある検疫官は「発症した感染者を見つけて国内感染を抑え、予防や治療方法を確立するまでの時間を稼ぐ。それが役割と思っている」と本音を漏らす。

 大量の応援要員で大型連休の帰国ラッシュをしのいだ検疫所だが、職員は「連休後も便数自体は変わらない」と疲れ切った表情。

 新型感染は三十の国と地域で確認され、増え続けている。世界保健機関(WHO)が警戒水準(フェーズ)を最高の「6」に引き上げる可能性もあるが、「休み返上で人をやりくりしている。機内検疫の対象便を増やすのは無理だ」との“悲鳴”も聞かれた。 (宮本隆康)

 

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