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スリランカ「人間の盾」378人死亡か 北部で砲撃

2009年5月11日0時58分

 【ニューデリー=武石英史郎】スリランカの反政府武装勢力「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」が多数の市民を「人間の盾」として立てこもる同国北部の地域で9日夜から10日にかけ、大規模な砲撃があった。AP通信は、現地で活動するスリランカ人医師の話として、少なくとも市民378人が死亡、千人以上が負傷したと伝えた。

 LTTEに近いウェブサイト「タミル・ネット」は1200人以上の遺体が確認されたと伝え、政府軍による砲撃だったと非難した。政府軍は先月末から空爆や重火器の使用を自粛すると宣言。今回の砲撃について10日声明を出し、「軍をおとしめるために、LTTEが市民に向けて撃ったものだ」と関与を否定した。政府は戦闘地域周辺への報道関係者や国際援助関係者の立ち入りを禁じており、正確な情報の入手が難しくなっている。

 かつて国土の約3分の1を支配下に置いたLTTEは、昨年から政府軍の激しい攻勢を受け、同国国防省によると現在、海岸沿いの約5平方キロの地域に立てこもっている。「人間の盾」のうち、すでに10万人以上が脱出したとされるが、国連はなお5万人程度がとり残されていると推定。潘基文(パン・ギムン)事務総長が、戦闘地域内の市民に人道支援物資を届けるための停戦を呼びかけたものの、スリランカ政府は応じていない。

 国連側から、市民の犠牲者数に関する内部情報や、重火器が使用されたことをうかがわせる衛星写真が報道機関に漏れたことを不満として、スリランカ政府は現地駐在の国連機関代表を呼び出して抗議するなど、両者の関係はぎくしゃくしている。

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