2日にがん性リンパ管症のため58歳で亡くなった忌野清志郎さん(本名・栗原清志)の本葬が9日、東京・青山葬儀所でライブ葬「青山ロックンロールショー」として営まれた。清志郎さん“最後のステージ”には、全国から4万2000人を超えるファンが集結。「雨上がりの夜空に」など清志郎サウンドが大音量で流れる中、それぞれの思いを胸にステージを模した祭壇に献花、“ロックの神様”の早すぎる死を悼んだ。
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雨上がりの青空に、清志郎さんの歌声が響き渡った。08年2月16日に日本武道館で行った復活公演のバックバンド「NICE MIDDLE」が“オープニング演奏”、過去のライブ音源を使用しての“ロック葬”。ファンは「清志郎っー!」と右手を高く突き上げ、嗚咽(おえつ)を漏らした。
清志郎さんの最後のステージ。最後のお別れをしようと、全国から集まったファンの列はいつまでも途切れない。最寄り駅の千代田線乃木坂駅では「3時間待ちです」とアナウンスしたものの、それでも人々は青山葬儀所を取り囲むように数キロにまで伸びた列の最後尾に並び続け、その数は4万2000人(主催者発表)を超えた。
正午から始まった本葬には、著名人や関係者1000人が参列。親友だった俳優・竹中直人(53)、女優・大竹しのぶ(51)、甲本ヒロト(46)の3人が弔辞を読んだ。竹中は「清志郎さんが残してくれた言葉、声、歌は僕たちの中に生きています。ものすごく寂しいけど、そう確信しています」と涙で言葉を詰まらせ、大竹は「OK、ベイビー。愛し合ってるかい?」とファンに呼びかけ、泣き崩れた。
午後2時からは一般向けの告別式が行われた。前夜10時に北海道帯広市から上京、一番乗りを果たした酪農業の男性(39)は「きょうはけじめをつけに来ました。ゴッドが死んだなんてまだ信じられない」と肩を落とした。仕事を終えて駆けつけた都内に住む女性は、3時間以上の待ち時間を伝えられても、「何時になっても待ちます。清志郎の音楽を聴いて育った世代なので」と唇をかみしめた。
ファンには会葬のあいさつとして遺影に、「イェーッ!!感謝For You!」と直筆文字をプリントしたポストカードを配布。5万枚の用意にも、関係者から「足りるか分からない」と悲鳴も。
結局、深夜にまで及んだ清志郎さんらしい、華やかな別れのステージ。夜空には一粒の大きな星が輝いていた。