社説
補正予算審議 ヤマ場の論戦聞きたい(5月8日)
大型連休が明けて、きのうから二〇〇九年度補正予算案の実質審議が衆院予算委員会で始まった。
関連法案を含む論議の行方は衆院解散の時期を直接左右することになる。後半国会はこれから最大のヤマ場に向かう。
衆院議員が任期満了を迎える九月十日まではもう四カ月余りだ。麻生太郎首相は解散時期をどう絞り込んでも「誤差の範ちゅうだ」と述べている。いつ解散があってもおかしくない状況である。
にもかかわらず、与野党が総選挙で国民に問う政権構想は依然明らかにされていない。補正審議では、各党の主張や政策が明確になるよう活発な議論を期待したい。
民主党の質疑でトップバッターを務めたのは菅直人代表代行だ。
西松建設の違法献金事件で小沢一郎代表の公設秘書が逮捕されて以来、守勢に追い込まれてきた。反転攻勢に打って出たいところだ。
そんな思いからだろう。菅氏は補正に盛り込まれた子育て支援策などについて、中途半端な政策で「賢い支出と言えない」と切り込んだ。
ところが西松事件に関しては、政府に捜査の現況をただしただけで、国民の関心事である小沢氏の進退問題や企業・団体献金の改革には全く言及しなかった。これでは政府批判も説得力を欠いてしまう。
その足元を見透かしたのか、首相の答弁には余裕さえ感じられた。
各種の世論調査では内閣支持率が30%前後に上昇し、一時のがけっぷち状態を脱した。政権運営に自信を取り戻しているのだろう。
ただ、支持率の回復は政策が評価されたためだとは言えない。四月末の共同通信社の調査では、過去最大規模の補正予算案について「あまり評価しない」「全く評価しない」との回答が過半数に達した。
支持率の好転は民主党の「敵失」のおかげとみるべきだ。
同じ調査で「支持政党なし」は三割に上った。総選挙が間近に迫ったこの時期に、政権選択を迫る二大政党のどちらにも魅力を感じない。それが未曾有の経済危機の中で国民の閉塞(へいそく)感を強めている。
後半国会では政治の行き詰まりを打ち破る論戦こそが求められる。
まずは衆院選の争点と対立軸を鮮明にする。その上で、雇用の安全網の再生や持続可能な社会保障制度の構築など政権獲得後の中長期的な政策課題についても、具体的な解決の道筋を示すことが重要だ。
それらのパッケージが政権構想となる。海賊対処法案など他の重要法案に関しても党の立場を政策体系の中に位置づけて提示する。与野党にはそうした努力が欠かせない。
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