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さようなら「キハ603」

2009年5月 1日

写真:ノスタルジーを誘う「キハ603」

51③.jpg 日本一短い地方鉄道として親しまれている紀州鉄道の顔「キハ603」の車両は、製造から49年、同鉄道での運行開始から34年を経てことし中に引退することが分かった。鉄道ファンや地元の観光振興にとって大きな痛手となるが、車体の老朽化と安全面からこれ以上の運行が難しい状況となり、惜しまれての引退を余儀なくされる。

 紀州鉄道を運営する同鉄道㈱(本社=東京)は昭和3年に御坊臨港鉄道(通称りんこう)として創立。6年にJR御坊駅から日高川までの運行を開始し、昨年12月で創業80周年を迎えた。緑と白のツートンカラーのボディー、「ガタンッ、ゴトン」と何かノスタルジーを誘う音を立てて走るキハ603は、35年に製造されて大分県で運行していたのを、同鉄道㈱が50年に購入して御坊で運行させている。当時に比べ利用客は減少傾向にあるが、依然として地元の学生や会社員にとってなくてはならない通勤通学手段として活躍。乗客数は延べ330万人にものぼり、総走行距離は76万㌔にも及ぶ。さらに全国から鉄道ファンが写真撮影に来るなどの人気で、市や御坊商工会議所でも観光振興の一つの要素として重要視している。しかし、車体が老朽化しても修理をするための部品在庫が尽きてしまい、先に引退した同じ車体の「キハ604」から部品を取りながら延命措置をしていたような状況で、安全面からも今後の運行ができなくなってきた。

 ただ、同鉄道㈱の髙﨑能紀社長は「キハ603が長年にわたり市民に親しまれていることや昭和を走り続けた最も古い形式の車両であることなど貴重な文化・鉄道遺産だと位置づけている。運行は中止するが、車両は保存して地元で展示できるようにしたい」などと、廃車しない方針を打ち出している。さらに車内で御坊の産品の展示、鉄道グッズの販売などを行い、引き続き地元観光振興にも役立てる。車両の展示場所はJR御坊駅構内などで検討している。キハ603の引退は展示場所の確保などで年内のいつになるか決まっていないが、セレモニーを行う。

 現行で紀州鉄道を運行しているのはキハ603とレールバスの2車両。キハ603の引退後は、同じ種類の中古レールバスをもう1台購入して走らせるため、運行ダイヤに影響はない。同鉄道㈱によると「実は国内でレールバスは2台しかなくかなり貴重なもの。その2台が走る紀州鉄道としてPRもできる」と話している。

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