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都の再開発用地、190億円を19億円で売却

2009年5月9日16時8分

図:  拡大  

 東京都がマンション建設用に当初190億円で売り出した目黒区の再開発事業用地を、東急不動産が代表の企業体が19億300万円で購入することになった。都は用地買収やマンション設計などに79億円をかけており、約60億円の赤字処分になるため、マンション売却で想定以上の利益が出た場合、価格を上乗せするよう、企業体と異例の交渉を進めている。

 再開発用地は渋谷駅の西約1キロの場所で、首都高3号線と中央環状線の結節点・大橋ジャンクションに隣接する7200平方メートル。都は、この土地に12年までに42階建てのマンション(689戸)を建てることを条件に、都が買収済みの土地5500平方メートルの購入者を探していた。

 都は08年4〜6月に予定価格190億円で入札参加者を募った。しかし、不動産需要が落ち込むなかで応札はなく、その後予定価格を79億円に下げても不調だった。このため、都の再開発事業では初めて予定価格を設定せずに入札参加を募ったところ、同企業体だけが参加したという。

 都が赤字を覚悟で売却を決めた背景には、マンションの完成時に246戸分を都以外の地権者に渡す契約になっており、完成するまで地権者の仮住まいの家賃などを負担していることがある。その金額が年間で約5億円に上り、土地が売れずに完成がずれ込めば負担が大きくなるからだ。

 しかし、破格の値段で売るため、都はマンション分譲時に不動産市況が好転し、予想以上の利益が出た場合、売却額を上乗せするよう企業体側に提案。企業体側もこの案に応じる構えで、6月の正式契約までに両者間で条件を詰めるという。(別宮潤一)

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