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提訴:中国人元実習生、賃金搾取で賠償求める 小渕元首相のおい相手に

 賃金を中間搾取されたとして、中国人の元技能実習生の男性が7日、受け入れ団体「日中経済産業協同組合」(東京都渋谷区)と組合理事長で故小渕恵三元首相のおい、小渕成康(まさやす)さん(42)を相手に約215万円の賠償を求め東京地裁に提訴する。組合の仲介により金属加工会社で就労した2年余り、研修手当や賃金をピンはねされたと主張している。元実習生の弁護士によると、把握しているだけで被害者は約50人、被害総額は3000万円に達するという。

 提訴するのは04年11月~07年2月に群馬県桐生市の金属加工会社で研修・実習した中国籍の倪文利さん(26)。

 倪さん側の出口裕規弁護士によると、研修期間の04年11月8日~05年11月7日、月額約5万円の研修手当が支払われるはずが約3万円しか支給されず、技能実習期間の05年11月8日~07年2月11日にも月額約11万5000円と定めた賃金が月2万~2万5000円程度しかなかった。

 倪さん名義の口座には金属加工会社から毎月、ほぼ契約通りの額が振り込まれていた。しかし通帳と印鑑を組合が保管しており、倪さんはお金を引き出せなかった。本来の支給額との差額約176万円に慰謝料などを加えた計約215万円の賠償を求める。

 小渕理事長は故小渕元首相の兄の長男で、小渕優子少子化担当相のいとこ。実習生の賃金約1200万円を着服したとして労働基準法違反(中間搾取)で在宅起訴され、宇都宮地裁足利支部で08年12月、懲役1年、執行猶予3年を言い渡され、確定した。

 出口弁護士は「他の被害者を募り、追加提訴したい」と話す。一方、取材に対し、小渕理事長は4日現在回答していない。【銭場裕司】

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 ■ことば

 ◇外国人研修・技能実習制度

 1年の研修後、実習生として2年間労働できる。研修生は労働者ではなく研修手当が支給され、実習生は労働者として賃金が支払われる。07年の研修生は約10万2000人。08年、不当な時間外労働など「不正行為」が認定された企業・団体は452と過去最多だった。

毎日新聞 2009年5月5日 東京朝刊

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