2009年5月9日23時44分
カナダからノースウエスト航空25便で成田空港に帰国した大阪府内の高校教員と生徒の3人が、新型の豚インフルエンザに感染していたことを受け、同行の生徒7人について詳細検査をした結果、1人が新型に陽性反応を示したと厚生労働省が10日未明、発表した。国立感染症研究所でさらに詳しく調べて確かめる。厚労省は同じ便で入国した163人らの健康確認を急いでいる。
厚労省と府教委によると、新型に陽性反応を示したのは、3人と同じ大阪府寝屋川市の府立高校に通う2年生。9日に感染が確認された3人と一緒にカナダに語学研修に出かけ、同じ便で教員や生徒ら計36人で帰国。濃厚に接触しているとして、検疫法にもとづき10日間の足止めに入っていたが、うち7人の生徒が同日午後、体調不良を訴えて千葉県内の3病院に搬送された。いずれも簡易検査ではインフルエンザA型に陰性だったが、千葉県衛生研究所で遺伝子検査をしたところ、1人の生徒で、Aソ連型とともに新型インフルエンザウイルスへの陽性反応が出た。同日午後3時現在で、38度の発熱とせきの症状を訴えていた。ほかの6人は感染可能性が否定された。
厚労省によると、感染者と同じ便に乗っていた乗客・乗員409人のうち、入国した163人の自宅、滞在先は26都道府県に広がっている。管轄する保健所に都道府県を通じて健康状態質問票が送られ、担当者が電話で健康状態の確認を急いでいる。今後も10日間は保健所が健康観察を続ける。
また、機外に出た後で診察を受け感染が確認された生徒1人が、機内で座席を移動していたことがわかり、同省が生徒の近くの席にいて二次感染が懸念される接触者を調べたところ、入国したのは12人とわかった。9日中に全員と連絡が取れ、健康に問題がなかったという。
感染が判明した3人と同行していた教員や生徒らと、機内で近くに座っていた乗客・乗員のうち、感染の可能性が否定できない49人は10日間、空港近くのホテルにとどまってもらう。個室に入り、自由に室外に出られず、家族とも面会できない。時間をもてあました生徒からは不満の声もあがり始めている。