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【主張】新型インフル 問われる危機への対応力

2009.5.10 03:22
このニュースのトピックス新型インフルエンザ

 国内で初の新型インフルエンザ患者が確認された。メキシコから世界へと流行が拡大する中で、日本も空港などの検疫を強化していた。その意味で患者の確認は当然であり、いち早く感染拡大の機会を封じたという点では水際作戦の成果と受け止めるべきだろう。

 ただし、水際での阻止は百パーセントの効果を期待すべきものではないことも理解する必要がある。そもそも海外から飛来する航空機の乗客全員に集約的な検疫を行うことは人員面から不可能だし、ウイルスに感染しても検疫時点で発熱などの症状が出ていないケースもありうるからだ。

 水際作戦は重要だが、万能の策ではない。国内でも人から人への感染がごく近い将来に確認されるとの前提に立ち、今後は水際の検疫と国内の感染拡大防止策の両方をにらんだ対策が必要になる。その点で、政府のガイドラインがすでにできていることは心強い。

 患者が少ない段階では、患者自身を隔離し、治療を提供するとともに、接触した人に連絡を取り感染の有無を確認していく。外出の自粛といった行動の制限やインフルエンザ治療薬の予防投与もありうる。早期治療は自らの回復にもつながるだけに、該当する人には対策に協力し、一定の負担を引き受けることも求めたい。

 さらに流行が拡大すれば、学校閉鎖、集会の自粛、不要不急の外出制限などの「ソーシャルディスタンシング(社会的隔離)」策も必要になる。接触、飛沫(ひまつ)感染が中心のインフルエンザウイルスの場合、1〜2メートルの距離があれば感染はしないという。人と人との距離を離すような手法は有効だ。

 ただし、今回の新型インフルエンザの症状は通常の季節型インフルエンザと同程度と考えられ、極めて致死率が高い鳥由来のH5N1型の流行を想定したガイドラインをそのまま適用するのは現実的ではない。社会機能が混乱し、逆に多くの人が生活・健康上の危機にさらされることにもなりかねない。この点も考慮し、流行の段階に応じ、迅速かつ適切な方針を示すのが政府の責務だろう。

 症状は重くないとはいえ、他の病気などで免疫の力が衰えている人は重症化しやすく、死に至る恐れもある。流行を抑えることは、弱い立場に置かれている人をみんなで守ることにもなる。危機に直面している時だからこそ、そうした考え方も大切にしたい。

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