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【主張】米銀資産査定 抜本処理のプロセス急げ

2009.5.10 03:21
このニュースのトピックス主張

 米財務省と米連邦準備制度理事会(FRB)が大手金融機関10社に計746億ドル(約7兆4000億円)の資本増強を要請した。主要な金融機関19社を対象に2月下旬から実施した資産査定の結果に基づく措置だ。

 金融不安を鎮め、金融システムを正常化させるには金融機関の資本が十分でなければならない。資本不足が指摘されたところは早急に不良資産を償却し、新たな資本調達に取り組むべきだ。

 米金融当局が個別金融機関の資産査定結果を公表するのは極めて異例である。資産内容を市場の目にさらすことで安心感を与える狙いがあるのだろう。

 今回の資産査定の特徴は今後2年間に経済がさらに悪化することを想定して、潜在的な損失やそれに伴う自己資本不足を算出した点だ。資本不足が指摘された10社は今後6カ月以内に資産を売却したり、民間や政府から資本を調達して健全性の指標である自己資本比率を高めることが求められる。

 米政府はこれまで経営破綻(はたん)の懸念があったシティグループやAIGを含めた複数の金融機関に対して公的資本を注入し、金融不安の払拭(ふっしょく)に努めてきた。だが、金融市場には各金融機関の経営内容に対する懸念が根強く残っている。米政府が資産査定を行わなかったために金融機関が抱える不良資産の規模が分からなかったからだ。

 バブル崩壊後の金融危機を経験した日本の教訓を踏まえれば、金融不安の解消には厳密な資産査定に基づいて損失を確定させた上、それに応じた資本増強が必要だ。米政府と民間の共同基金による不良資産の買い取りはこれから始まる。買い取り価格次第では損失が拡大する可能性も指摘されるが、今回の査定で米国はようやく不良資産の抜本処理に向けた一歩を踏み出したといえる。

 資本不足とされた金融機関の一部は政府の経営介入を嫌って公的資本注入に難色を示している。公的資金に頼らず、できる限り民間資本を調達する姿勢はよいとしても、果たして冷え込んだ資本市場で簡単に自己調達できるのか。

 米経済は住宅価格や個人消費に底打ちの兆しが見え始めた。資本増強による融資機能回復は、米国だけでなく世界経済の再生に不可欠だ。必要なら金融機関は公的資本注入をためらってはならない。米政府も監督を強化して抜本処理に全力を挙げてもらいたい。

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