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20世紀冒頭、フランス人の目に映った朝鮮の姿

【新刊】エミール・ブルダレ著、チョン・ジングク訳『大韓帝国最後の息吹き』(文の壷)

 「もし、知的で夫も放蕩(ほうとう)しない朝鮮の婦人なら、家庭でかなりの権威を享受し、ときには夫よりも強い姿を見せることもある…彼女たちは辛抱強く働くことで悲惨な状況に打ち勝つが、気落ちしたり怠けたりする男は戦うよりも飢えて死ぬ方を選ぶ」 (140ページ)

 著者のエミール・ブルダレは、鉄道と鉱山開発に関連する技術の諮問に携わっていたフランス人技術者だ。1900年から数年間韓国に滞在したブルダレは、韓国各地をめぐり、1904年にフランスで本書を出版した。そして本書は、20世紀初めのフランスで最も広く読まれた韓国関連書となった。

 本書は、当時のほかの西洋人と同じように、朝鮮を依然として未開の国と見る観点から書かれている。「祖先崇拝という霊魂不滅の礼賛に縛られている退行が、正常な発展を阻害する」という見方もある。しかし本書の価値は、大韓帝国時代の西洋人の見聞録が稀だ、という点だけではない。韓国人にとっては当然の姿であるにもかかわらず、記録はおろか言い伝えすら残っていない風景について、極めて詳細に細密画を描いている。

 「実に食い意地の張った民族である朝鮮の人々」が食べ、飲み、酔っ払う光景があるかと思えば、毎晩きぬたを打つ響きで都市全体が包まれる、という記録もある。両班たちは仕事をせず、いつもゆっくりした歩みで市内を闊歩(かっぽ)し、むしろ1枚の布で寒々しい風を防いでいるだけの簡易食堂では、うずくまって座る人々がククス(めん類)を食べていた。また、電車に乗って郊外へ遊びに行く若者たちを描写した場面では、新しい交通手段が生活スタイルに変化をもたらす「近代」の端緒が示されている。

兪碩在(ユ・ソクジェ)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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