愛知・母子殺傷　母の飼い猫殺されていた

　愛知県蟹江町の民家で母子３人が殺傷された事件で、この家で飼われていた猫も殺されていたことが５日、分かった。捜査幹部が明らかにしたもので、猫は殺害された母親で会社員の山田喜保子さん（５７）が飼っていたという。捜査本部では、強い恨みによる犯行の可能性もあるとみて、家族に何らかのトラブルがなかったか調べている。

　捜査本部によると、血のついた複数の衣服も室内で見つかった。犯人が犯行時に負傷した可能性もあるとみて血液鑑定を急いでいる。屋内には土足の跡など、外部から侵入した形跡は確認されておらず、３人の預金通帳、財布も屋内で発見されている。

　この日、蟹江町の斎場では亡くなった喜保子さん、次男で洋菓子店員の雅樹さん（２６）の２人の通夜が営まれ、遺族や山田さん一家とゆかりのある人々が突然の死を悼んだ。参列者によると、通夜は喜保子さんの長男からごく親しい人だけに連絡があり、葬儀も密葬で行われる予定。

　雨の中、三重県桑名市から訪れた女性（８２）は、喜保子さんが２０代のころからの付き合いで、５月４日に一緒に食事をする約束をしていたという。女性は「先月末、喜保ちゃんが久しぶりに突然会いに来てくれ、昔話をしたばかりだった」と振り返り、事件については「なんで、あんな…」と言葉を詰まらせた。

　２日に事件が発生した民家では、喜保子さんと雅樹さん、三男勲さん（２５）が暮らしていた。男４人兄弟の長男と四男は別居中で、父親は１０年ほど前に病気で死去。喜保子さんが新聞配達などをして息子たちを育てたという。

　喜保子さんは頭蓋（ずがい）骨骨折による外傷性脳障害で死亡したが、顔などを執拗（しつよう）に殴られていたほか、首を絞められたあとがあった。雅樹さんは背中を鋭利な刃物で刺されるなどして死亡。雅樹さんの顔にも傷があり、首を絞められたようなあとがあった。軽傷の勲さんは、首の後ろと背中を刺されている。

　［2009年5月6日9時19分　紙面から］