BSEと吉野家のおもてなし
食品安全委員会の答申が述べているように、食の安全確保を優先し、日本政府の責任において輸入再開の「前提条件」を100%守っていただきたいと考えます。
牛丼の吉野家の安部社長による輸入再開を歓迎するコメントも報道されていますが、今日はその吉野家に苦言を呈します。
覚えていますか、日本全国の吉野家のファンが駆けつけた本年2,11牛丼 <限定> 復活日を。
真冬の関東地方は晴れていたものの「体の心から冷える」という表現がぴったりの一日でした。
その日、私は妻と二人でいきつけの吉野家店舗前に並びました。
40分ほど待ち店舗内に入ったその時、目の前には信じられない光景が飛び込んできました。
席はガラガラの状態でした。
寒さに震えながら40分も待った私は、
牛丼なんてどうでもいい、今も外に並んでいる人をどうにかすべきだ
そう考えてしまいました。
私には「職業病」があります。非礼なサービスを受けた時、決して「放っておく」ことができないのです。
必ず苦言を呈します。
苦情は言われた側にプラスになるものと考えるからです。
吉野家のこの日の店舗運営システムには明らかな問題点が見受けられました。
まず、店舗内で食べることを希望する人と持ち帰りを希望する人を同じ列に並ばせたことです。
そして、店舗外の列に並ぶ人たちへのインフォメーション要員を配置しなかったことです。
結果的に店舗の外で凍えながら待っている多くの吉野家ファンを無視した対応をしてしまった、ということです。
私は店内のスタッフに対し、寒い中店舗外で待っている人たちのことをもっと考えるようにと直言しました。
具体的にこうすれば良いというアドバイスも含めて・・・
面白いもので、私がスタッフと話している内容を聞いた隣席の方々も「そうだ、そうだ」の大合唱になっていきます。
決して怒鳴ったり大きな声を出したりはしていません。
皆同じ思いであったのでしょう。
この日、吉野家のサービスに関する考え方が露呈されました。
ポスターや配布物などはとても立派な出来ばえでした。事前の準備が万全であったのでしょう。
しかしながら顧客である吉野家ファンへのサービス、おもてなしを全く考えていない店舗運営の出来ばえは明らかに「失格」です。
経営者は猛省すべきです。
後日、新聞に全面広告が掲載され、全国各地の吉野家ファンの「声」が紹介されていました。
そのほとんどが「美しい話」でしたが、その中にたった一人だけ私と全く同じ「苦言」を呈した方の文が掲載されていました。
今から思えば本当に「後味の悪い牛丼」でした。
一日だけのあのイベント、吉野家の経営者の目はどこに向いていたのでしょうか。
顧客ですか、日本政府ですか、それともアメリカですか。
経営者はどのような思いで、誰に!何を!・・・ 伝えたかったのでしょうか。
多くの吉野家ファンが、あの日「何かに利用された」ことにはならないでしょうか。
今も・・・です。
吉野家のホームページを見れば「うまい・やすい・はやい」の3要素を志向する経営であることは分かります。
たしかに会社案内や企業文化を紹介するものの中には「顧客サービス」に関することは一行たりとも書かれていません。
顧客サービスなど関係ない、「うまい」は別ですが、「安い」「早い」という数字で表されるもの以外の指標は必要ない、経営者はそのようにお考えなのでしょうか。
しかしながら、「サービス」を含めた顧客満足がなければ、顧客はいずれリピートしなくなります。
吉野家は「食を通して地域社会に貢献する」ことをモットーに積極的に社会貢献活動に取り組んでいるとのことですが、その前にやらなくてはならないことがあると私は考えます。
それは
「給料となるお金」を支払ってくださる「目の前のお客様」に対して最高のサービスを提供する
そのことです。
私はディズニーからこのようなことを教えられました。
「最近の消費者は企業の知性を鋭く見抜いている、そしてその力はエンドレスに高まっていくだろう」
私は今でも吉野家のファンの1人ですが、今後もより一層厳しい目で吉野家のサービスを評価していきたいと考えます。