内閣が改造されました。それでも「この国がどこへ向かおうとしているのかが分からない」と思っている人が多いようです。私もそう思う国民の一人です。
この国の国民には「根本的なこと」が分かっていないとつくづく感じます。勤勉で真面目な国民でありながら必ずしも良い結果を生み出していない、世界から尊敬されていない、その原因はすべてこの「根本的なこと」が分かっていないからなのです。
その「根本的なこと」とは、「思想・思考から出来事が生まれる」という至極当たり前のことです。
正しい思想を共有している集団からは正しい出来事、正しい結果が生み出されます。反対にトップが食品偽装を容認するような企業や、あの社会保険庁のように、間違った思想の集団からは、間違った出来事、不祥事という結果が生みだされるのです。
ぬか漬けを考えてみれば分かります。手入れの行き届いたミネラルいっぱいのぬか床であれば、おいしいぬか漬けが生み出されます。反対に、腐ったぬか床や塩気が効きすぎたぬか床からは、いただけないぬか漬けしか生み出せません。
この見えないぬか床の成分こそが、集団の思想・思考なのです。簡単に言いますと、「何を考えている集団なのか」が分からないと「生みだされるものが何か」が分からないということです。反対に、「何を考えている集団なのか」が分かれば「生みだされるものが何か」が分かるということなのです。
私は東京ディズニーランドのぬか床の手入れをしてきた人間の一人です。成分もよく分かっています。この巨大なぬか床から生みだされるものが何であるかも分かっています。
その私から言わせていただきますと、日本の企業をはじめとする集団のぬか床の現在の中身は、あまり良い状態ではないと断言させていただきます。
帰属する集団のぬか床が良くないから、続発する通り魔事件のような良くない出来事が生み出されるのです。集団の思想・思考が間違っているからこそ、社会保険庁のずさんな業務運営が生まれるのです。
そして、このぬか床の成分の大部分を占めるのが「理念」です。
東京ディズニーランドの理念は「テーマパーク運営を通じ人々の幸福の創造する」ですが、理念とは「私たちは、〜を通じて、〜をする集団」ということを明確に示したものです。この理念を明確にすることがぬか床の中身の「見える化」につながっていくのです。
この「何を考えているか」を「有言」し、着実に「実行」に移していくことが、消費者や国民からの信頼性を高めます。反対に、「何を考えているか」を明言せず、その上実行するのかも分からないということでは、消費者や国民は間違いなく不信感を感じてしまいます。
「この国がどこへ向かおうとしているのかが分からない」という国民の実感も同じです。国民に「何を考えているのか」の答えが伝わっていないということなのです。
さらに、です。「思想・思考から出来事が生まれる」、このことは「国家」にも当てはまります。海外から日本への投資が冷え込んでいる理由も実はまったく同じ理由なのです。
海外の投資家は、投資すべき企業の思想・思考が分からないから出来事である業績が予測できないのです。
この国の為政者が考えている方向性が分からないから、不安になり投資マインドも冷え込んでしまうのです。
このことにほとんどの日本人が気づいていないことが、日本経済の低迷の原因である、私はそのように考えます。
私は、日本社会はこの閉塞感を打破するために、ディズニーランドの思想・思考、そして理念や業務運営のノウハウなどに学ぶべきであると思います。今や、その時期に来ているとも考えます。
現在のディズニーランドのぬか床は、東洋的思想に基づいたおもてなしと、西欧的思想に基づいたホスピタリティが結びついた、とても良いぬか床に仕上がっています。
もはや、ディズニーを警戒する時代は終わりました。これからは正しく動いている集団から学ぶことが何よりも大切なことであり、今日のタイトルである日本を元気にする唯一の方法であるのです。
※ディズニーランドの「基本的考え方」に関してはこちらの記事をご覧ください。