2009年5月9日17時2分
忌野清志郎さんの遺影を前に弔辞を読む竹中直人さん=9日午後、東京都港区の青山葬儀所、代表撮影
「清志郎さん、またね!」と手を振る竹中直人さん=9日午後、東京都港区の青山葬儀所、代表撮影
忌野清志郎さんに弔辞を送る大竹しのぶさん=9日午後、東京都港区の青山葬儀所、代表撮影
忌野清志郎さんに弔辞を送る甲本ヒロトさん=9日午後、東京都港区の青山葬儀所、代表撮影
忌野清志郎さん愛用の楽器・機材が飾られた葬儀会場=9日午後、東京都港区の青山葬儀所、代表撮影
◆ミュージシャン・甲本ヒロトさんの弔辞<全文>
清志郎ーっ。あなたとの思い出にろくなものはございません。突然呼び出して、知らない歌を歌わせたり、何だか吹きにくいキーのハーモニカを吹かせてみたり、レコーディングの作業中にとんちんかんなアドバイスばかり連発するもんで、レコーディングがとどこおり、そのたびに我々は聞こえないふりをするのが必死でした。でも、今思えば、全部冗談だったんだよな。
きょうも、「清志郎、どんな格好してた?」って知り合いに聞いたら、「ステージ衣装のまま寝転がってたよ」と言うもんだから、「そーか、じゃあ、オレも革ジャン着ていくか」と思ってきたら、何だか浮いてるし。清志郎のまねをすれば浮くのは当然で、でも、あなたは、ステージの上はすごく似合ってたよ。ステージの上の人だったんだな、うん。
一番最近会ったのは、去年の11月、それはザ・フーの来日公演で武道館の、その時はあなたは客席の人でした。ステージの上の清志郎じゃなくて、客席の人でした。たくさんの人が清志郎にあこがれるように、あなたはロックンロールにあこがれていました。僕もそうです。そんな一観客同士の共感を感じ、とても身近に感じた直後、あなたはポケットから何かを出されて、それは業界のコネをフルに生かした戦利品とでもいいましょうか、ピート・タウンゼントの使用するギターのピックでした。ちっともあなたは観客席の一人でなかった。僕があまりにうらやましそうにしているので、二枚あったそのうちの一つを僕にくれました。(ポケットを探り)こっちじゃねえや、これだ。ピート・タウンゼントが使っていたピックです。これはもう、返さなくていいね。収めます。ありがとう。一生忘れないよ。短いかもしれないけど、一生忘れない。
そんで、ありがとうを言いに来たんです。数々の冗談、ありがとう。いまいち笑えなかったけど。きょうもそうだよ。ひどいよ、この冗談は。そんでね、ありがとうを言いにきました。清志郎ありがとう。それから後ろ向きになっちゃってるけど、清志郎を支えてくれたスタッフの皆さん、それから家族の皆さん、親族の皆さん、友人の皆さん、最高のロックンロールを支えてくれた皆さん、どうもありがとう。どうもありがとう。で、あと一つ残るのは、きょうもたくさん外で待っているあなたのファンです。彼らにありがとうは、僕は言いません。僕もその一人だからです。それはあなたが言ってください。
どうもありがとう。ありがとう。