2009年4月30日13時22分
【ソウル=牧野愛博、金海(韓国南部)=稲田清英】韓国の最高検察庁は30日午後、盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領(62)を不正資金疑惑の被疑者として取り調べる。韓国の大統領経験者が検察の取り調べを受けるのは、95年の全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)両氏に次いで3人目。政治的な影響を考慮し、容疑が固まっても身柄を拘束するかどうかは、慎重に検討するとしている。
盧武鉉氏は同日午前8時前に韓国南部・金海市烽下村にある自宅を出発。午後1時半前、ソウルにある最高検察庁に出頭した。盧氏は出発にあたり、自宅近くに詰めかけた報道陣に「国民のみなさんに面目ない。失望させて申し訳ない」と言葉少なに語った。上空にはヘリも旋回し、騒然とした雰囲気が続いた。
検察の調べでは、盧氏の大統領在任中に有力支援者が複数回に分け、計600万ドル(約5億8千万円)余りを盧氏の妻らに渡したという。盧氏が在任中にこの事実を知っていれば、包括収賄罪に問えるとしているが、盧氏側は否定している。
最高検は30日午後1時半から盧氏をソウルの同庁で取り調べる予定。最高検側は「大統領経験者であり、失礼がないように迅速に行う」としているが、確認事項が多く、取り調べは未明まで続く可能性がある。盧氏を逮捕するかどうかについては、取り調べ後に数日間協議したうえで決定するとしている。
盧氏は03年2月から5年間、大統領を務めた。弁護士時代に労働運動や人権問題に精力的に取り組んだこともあり、大統領選では民主化・学生運動を率いた世代の圧倒的な支持を得た。大統領としての手腕に批判もあったが、金銭面では清潔と思われていただけに、国民の間には失望感が広がっている。