松本市役所四賀支所からモニターを通じて信大病院の診療室にいる研究員と話すインドネシアからの視察団 |
情報通信技術を活用した遠隔医療システムの先進例を学ぶため、インドネシアの政府関係者らが27日、総務省のモデル地区となっている松本市の四賀地区と信大病院を視察した。テレビ電話による医療相談の技術を参考にし、6月をめどにスマトラ島西部のタナダタール県で実証実験を始めるという。
インドネシアでは、学校や診療所にインターネットを使った地域情報拠点「テレセンター」の開設を計画。このセンターを拠点に遠隔医療の実証実験をし、データを集める。
この日は、タナダタール県副知事のアウリズル・シュイブさんら10人が菅谷昭市長と懇談。市四賀支所で、骨粗しょう症予防の健康教室を、住民がテレビ電話で受講する取り組みを視察。実際にモニターを使って、信大病院の総合遠隔診療室にいる研究員と会話した。会田病院では、訪問看護の受診者宅と病院を結ぶ医療相談の説明を受けた。
タナダタール県は人口約34万人に対し病院(診療所を除く)が1カ所しかなく、交通の便が悪いため、診療所間のネットワークも不十分という。実験では、テレセンターに検査機器を備え、データを集積。将来的には病院や診療所間で共有し、医療相談を通じて病気の早期発見や治療に役立てる。
視察した医師のエルモン・レブリンさん(40)は「日本の科学技術に感動した。取り入れれば、インドネシアの人々の健康増進につながると期待している」と話した。